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車椅子で入れる「猫カフェ」の経営が窮地に…。代表者を取材「いろんな背景を抱える人の新しい居場所になれば」

ねことカフェ“一番の卒業生”は7歳の成猫

猫 オープン当初にはお迎え予定だった子たちがエイズ陽性になり、積極的な譲渡が難しくなるなど、予想外の事態も経験。そうした事情もあり、現時点で「ねことカフェ」から巣立っていったのは、店内で最高齢だったリリーちゃん(7~8歳)のみ。  しかし、梅本さんはその譲渡に胸が熱くなりました。 「この子はお店に来る予定ではありませんでしたが、団体様のところで引き受ける猫を探すためにキャリーを置いていたら、自分から入ってきて(笑)。『じゃあ一緒に行こっか!』と迎え入れたんです」 思いもよらぬ子が一番に“卒業生”となった…。その嬉しさを噛みしめつつ、これからも梅本さんは人同士の壁を感じさせない店内で、幸せを掴もうとする成猫の姿を見守り続けていきます。

「動物虐待がない社会」を目指して

猫「ねことカフェ」は子どもが多い住宅地にほど近い場所にあるため、梅本さんはあえて、入店にあたっての年齢制限を設けず、お店を“猫との関わり方を学べる場”にしています。  猫に関心がない子や恐怖心を持っている子にも興味を持ってもらいたいとの思いから、小学生低学年向けの読み聞かせイベントも実施しています。 猫「上手く遊べないことで苦手意識を持たないよう、スタッフと共に、お子さんも猫も楽しく過ごせるよう、工夫しています。子どもの頃から猫と触れ合える環境が身近にあり、動物虐待という選択肢が頭の中にないという状態を、まずはこの地域から作りたい。そこからさらに、猫や動物たちを好きになってくれたら嬉しいです」  また、同じビルにある児童発達支援・放課後等デイサービス「おおきな木」と連携。児童たちにお仕事体験として、ブラッシングなど猫たちのお世話を任せています。 猫 きっかけは「おおきな木」に通う、りなちゃん(9歳)が大の猫好きであると知ったこと。梅本さんは放課後等デイサービスの事業者・灰谷さんと話し合い、希望する児童には週1回30分ほど猫カフェでの就労体験をしてもらうことにしました。 「放課後等デイサービスからお手伝いにきてくれる子どもたちは何かしらの背景を抱えていることもあるので、できる限り自己肯定感を高めるようなお手伝いや声かけをしています」  梅本さんの優しい配慮は児童たちの心に届いているよう。灰谷さんによれば、動物との触れ合いは児童たちにとって、普段の活動以上に「誰かの助けになる」という自尊感情を育む機会となっているそう。
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就労体験を通じてりなちゃんにも変化が
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