
すると数日後、よもぎちゃんの体に変化が。「死産」という形ではあったものの、2日かけてお腹の子を自力で産んでくれたのです。
毛は生えていないけれど、爪や肉球が出来上がった親指サイズの子猫3匹を見て、飼い主さんの胸に芽生えたのは悲しみと感謝。
「手術に体力を使わなくてもよくなり、栄養がちゃんと届くようにもなったので、残念ではあるけれど仕方なかった、親孝行な子猫ちゃんたちだったと、自分を納得させました」
その後、よもぎちゃんの体力は徐々に回復。保護から1週間後には左眼球の摘出手術を受けました。
「顎は先生もびっくりするほど、自然に良くなっていき、ご飯が食べられるようになった保護後2週間目くらいに手術を受けました」

こんなに回復する子は、あまり見たことがない。獣医師がそう口にするほどのV字復活を見せた、よもぎちゃん。その姿を嬉しく思うと同時に、飼い主さんの頭によぎったのは、金銭面の不安でした。
獣医師に見積もってもらった治療費や手術代は、総額50万円。悩んだ飼い主さんは妹さんに相談。クラウドファンディングを行いました。
「葛藤はありました。自分の意志で助けたのに、人に頼るのはどうなのかって」
悩みながらも飼い主さんはクラウドファンディングのスタートに向け、よもぎちゃんの現状や日常を配信するX(旧Twitter)のアカウントを開設。すると、多くの人から注目され、クラウドファンディングの開始前から「寄付をしたい」という連絡をたくさん受けるように。
その結果、なんとクラウドファンディング開始前に目標金額の半分を達成。さらに、クラウドファンディング開始後は2日間で目標金額を達成するという奇跡が起きました。
「カフェのオーナーさんがお店に募金箱を置いてくださったり、保護団体様から寄付をしていただいたりと、色々な方に助けてもらいました。みなさんのおかげで、あの子は今生きています」
発見した時間やよもぎちゃんの生命力、広がった支援の輪など、どれかひとつでも欠けていたら、よもぎはここにいなかった。いくつもの奇跡が重なった当時を振り返るたび、飼い主さんは温かい気持ちになるのです。