そして三浦さんが「あんな食べ物に対してリスペクトのない店より、俺の方が何倍も美味しい料理が作れる」と言うので、仕事終わりにお家にお邪魔してお得意の炒飯を振る舞ってもらったそう。
「今思えば、いきなり異性の先輩のお家に行くってどうなの? という感じですが、あの日のおかしなテンションに突き動かされて。つい調子に乗ってご馳走になっちゃいました。三浦さんの作った炒飯は米のひと粒ひと粒が油と卵をまとっていて、ちょっとしっとりめのすごく美味しい炒飯で。
食べ進めるほどに、トゲトゲした心がなだらかになっていきました」
そしてデザートを食べながら、せっかくの機会なので思いきって三浦さんに「今までどうして、2人の時にあんなに無愛想だったんですか?」と聞いてみました。
「すると本人は無愛想にしているつもりはまるでなかったんです。自分がかつて先輩から食事の時間や移動中に根掘り葉掘り詮索されることをうっとうしく感じていたので、
自分は後輩のことを放っておいてあげたいと思っていたそうです。だから仕事以外のことではあまり話しかけないようにしていたと言っていました。私がミスしたことなんてすっかり忘れていた様子でした。とにかく、嫌われていたわけではなかったと知ってホッとしたんですよ」
そんなふうに誤解が解け、気楽に話ができるようになった2人は次第に惹かれ合い、なんとお付き合いをするようになったそう。
「三浦さんの炒飯が美味しすぎてすっかり胃袋をつかまれてしまい、私の方からアプローチしてしまいました。あのマズすぎる町中華は、2人の間ではすっかり笑い話になっています」と微笑む柚子さんなのでした。
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<文&イラスト/鈴木詩子>
鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
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