Entertainment

朝ドラ『虎に翼』で最大の発明といえる重要フレーズ。プロデューサーによる“定義”にも注目

「スンッ」の定義

『虎に翼』 そもそもこの「スンッ」とは、明確に定義されているものなのだろうか? 第2回の「スンッ」初登場から見続けていれば、それが明確には定義仕切れない、とても複雑な感情であることは明白である。  それでも本作の石澤かおるプロデューサーが一応の定義を解説してくれている。曰く、「そうせざるを得ないときがあるけれど、そんな自分が悲しくもある」という感情を成分とする表現なのだと(『NEWS PICKS』インタビューより引用)。  この定義らしき感情を理解するなら、これは葛藤そのものであり、葛藤を経て駆り立てられるストラッグル(闘争)を温存した状態でもある。だから寅子の場合、「スンッ」に陥ったところから、「はて」の違和感を突きつける、何かきっかけが必要だった。  それが穂高だったが、伊藤の演技レベルで考えても、「はて」のアウトプットを通じて「スンッ」をチャージ(温存)しているように見える。  定義が明確ではないからこそ、伊藤の演技がそれを補足する。「スンッ」からの解放運動が視聴者の心に息づくとき、定義はもっと明確になるのではないだろうか? <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ