迷惑客の斜め前の席でコーヒーを飲んでいた女性客が立ち上がり、帽子とサングラスをサッと取ると「ちょっとおじさん! 海外にいたのを理由にして、あなたの窃盗行為を正当化するのやめてもらえませんか?
私はイタリア人ですけど、そんな話は聞いたことないですし、当たり前ですけどどこの国でもそんな理屈は通りませんよ」と流暢な日本語で迷惑客にたたみかけたそう。

「てっきり日本の方だと思い込んでいたのですが、帽子とサングラスを取ったら彫りの深い迫力のあるイタリア美人で驚きました。そんなモデルさんのような女性から正論を突きつけられた迷惑客はぐうの音も出なかったみたいで、
キッと私を睨みつけると千円札をテーブルに叩きつけて、お店を出て行きましたね」
その後すぐにその女性にお礼を言いに行くと「実は私、日本生まれの日本育ちで、イタリアも海外も行ったことがないんです。でもあのおじさんの理不尽な振る舞いが耐えられなくて、つい外国人ぶってしまいました。本当は日本のことしか知らないくせにね」とクスクス笑いながら話してくれました。
「あの迷惑客を追っ払ってくれた女性の勇気に感謝しつつ、
私も一緒になって笑って、なんていうかすごく胸がスーッとしたんですよね」
それ以来、その迷惑客はぱったりとお店に現れなくなったそう。
「夏菜にそのことを話したら『
なんとしてもその女性にお礼とお詫びがしたい。今度いらっしゃったら、すぐに私を呼んで!』と興奮気味に私の肩を掴んで揺らしてきました(笑)」
「それ以来、私と夏菜は、彼女がまた来てくれるのをとても楽しみに待っているんですよ」と微笑む美加子さんなのでした。
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<文・イラスト/鈴木詩子>
鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
@skippop