そんな生活に嫌気が差した晴美さんは、ある日ドライバー仕事帰りに通りすがりの道である店を見つけます。それは、路面営業をしている風俗店。晴美さんはフラフラと吸い込まれるようにその店に入り、気が付けば面接を受け、風俗嬢として働くことが決まりました。
「夫との性生活もなく、金銭面でも女としてもカラッカラになっていたタイミングだったんで無意識で選んだのかもしれません。私はドライバーの仕事が終わった後の短い時間と休日だけそこで働き始めました。
風俗で働くわりには微々たるお金だったかもしれませんが、それでも無給の義実家の会社よりよっぽど生活の助けになりました」
ところが、晴美さんがそのお店の近くの駐車場に社用車を停めていたため、「あの会社の人は仕事中に風俗通いをしてるのでは?」という噂が立ち始めたそうです。もちろん義実家や夫は犯人を割り出そうとしましたが、まさか嫁が働いているとは露ほども思っていなかったようで、何も判明せず。

そうこうしてるうちに信用がどんどん落ちて業績がさらに悪化。結局、義実家は会社を畳むことに……。
「私はそのタイミングで離婚を切り出して、風俗で働いていたことが万が一にでもバレないように、慰謝料も何もいらないからと逃げるように上京しました。
その後は一切連絡を取ってないので元夫がどうしているのかは知りません。過ぎたことはもう仕方ありませんが、あんな男だと見抜けなかったことは私の反省すべき点ですね」
家ぐるみで嫁に経済DVをして搾取していた分のツケが、結果的に自分たちに返ってきてしまった因果応報なお話でした。
<文/もちづき千代子>
もちづき千代子
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:
@kyan__tama