
完全に“クロ”。そう思ったゆきさんはその場でラブホのカードを抜き取り、良助さんの反応を窺うことにしました。
翌日、「今日も残業で遅くなる」と、そのころには聞きなれたセリフとともに家を出て行った良助さん。しかし出勤してまもなく財布の異変に気がついたのか、不倫がバレたことを悟ったようでした。
ゆきさんのスマホに「ごめん。俺が悪かった。今日の夜に話し合おう」と連絡が来たのは、お昼休みであろう時間帯のことだったとか。
良助さんの帰宅後、ゆきさんは抜き取っておいたラブホのカードを見せて問い詰めます。良助さんは素直に認め、平謝りするばかりか、その場で不倫相手に電話までかけました。
それは「妻にバレたから、もう終わりにしよう。やっぱり君より家庭が大事」と、潔い別れの電話でした。
「不倫相手は彼の職場の部下でした。案の定ですが、『だんだん太っていくゆきを女性として見られなくなって、目移りしてしまった』という言い訳でした。
もちろん許せなかったし、別れようと思ったけど、情が捨てきれなかったんでしょうね……。二度目はないからねと釘を刺しつつも、夫婦関係を再構築することにしたんです」
それでも、一度裏切られてしまうと疑心暗鬼になってしまうのが人の性です。
ゆきさんは良助さんの帰りが遅くなるたび、「また不倫をしているのでは」や「あの女と続いているのかも」と、不安に苛まれるように。胃が痛くなったり吐き気がしたりと、身体的な不調まで抱えるようになっていました。
「でも、彼には話さなかったんです。また揉めたくなかったし、依存的な女と思われるのも嫌だったから」
健気にも、ゆきさんはできるだけ笑顔で話しかけ、さらには一緒に過ごす時間も積極的に作っていたそう。
けれど、心をいくら偽っても体は正直なもの。食事がなかなか進まず、どれだけダイエットに励んでも落ちなかった体重が、あっという間に8kgも減ってしまいました。
「痩せた途端、元夫は結婚当初のように優しくなりました。『ゆきはやっぱり細身のほうがかわいいよ』と言い、スキンシップをしてくることも増えました」
あまりの現金さに、ゆきさんの心には一層暗い影がかかります。見た目だけしか愛されていないような気がしたのです。