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駅やコンビニで見かける「医療機器」を幼児向けおもちゃに。開発者が込めた“アツい想い”とは

子ども向けおもちゃとしてのバランスに苦悩

トイこころ本体

トイこころ本体

「トイこころ」という名前は、「男女どちらにも寄らず、AEDという言葉を使わないコンパクトでおもちゃらしい名前を」という思いから、秋山さんが数えきれないほどの案からネーミングしたのだそう。 「恐らく世界初となるAEDの知育玩具となるため、『こころ』という日本語を入れたかった」と秋山さんは言います。 「トイこころ」は、電源ボタン、「おとな・こども」を選択するボタン、電気ショックボタンだけのシンプルな作りです。 「本物に近づけすぎると“AEDのデモ機”のようなものになってしまいます。子どもたちに愛されるおもちゃにしなければ意味がないので、AEDっぽさを残しながらも、子どもたちが触ってみたくなるバランスを目指しました。 トイこころ  本体のカラーにもこだわりがあるそう。 「実際のAEDはメーカーによって、オレンジ色や青色、緑、白などさまざまなカラーがあります。『トイこころ』の本体カラーは、始めはピンクや水色の配色の試作品を作ったりしましたが、最終的には現在の赤色に決定しました。僕にとってAEDはヒーローそのものなので、戦隊モノのイメージから赤にしようと思ったんです」

試作品では我が子に怒られてしまったことも

試作品のひとつ

試作品のひとつ

 また、トイこころは本物のAEDの蘇生の手順に沿った流れで遊べるようになっており、基本的には本物にない機能は入れていないとのことですが、一方で、子どもが楽しく遊べるための配慮もほどこされています。 「ただ、本物のAEDは電気ショックをしたあとに心臓マッサージをする時間が2分間あるんです。その間ずっとピピピ……と電子音が鳴り続けるのですが、子どもにとっては2分間は長いし、飽きちゃいますよね。 しかも、救急車が到着して救急隊に引き継ぐまで、再診断・電気ショック・心臓マッサージを繰り返さなくてはいけないので、終わりがありません。最初はそういう作りにしたのですが、試しに5歳の息子に遊んでもらったところ、『このおもちゃ、いつ終わればいいの?』と怒られてしまいました。おもちゃの場合は、子どもに達成感を与えてあげなければならないと考えて、実際のAEDには無い『ミッション完了!』という音声を入れることにしました」
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子どもたちの反応は……
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