永山さんが引っかかったのは、その“彼氏”です。

Aさんから聞いていたのは、「上司の紹介で知り合った別の会社の人で、向こうから熱心にアプローチされて付き合った」という男性でしたが、Bさんが口にするのは「上司から紹介された人がたまたま元彼で、やり直してほしいと懇願されて付き合った」と、まったく違うエピソードでした。
婚約に至る話も永山さんとBさんでは聞いている事情が違っており、「え、この彼氏本当に実在するの……?」と思わず口にするほど違和感があったといいます。
「Bもきついことを言ったせいかAとは音信不通になっていて、今も連絡はないそうです。ほかにも共通の知り合いはいるからAの状態は探れるけど、何だかもう触れるのが怖くなりました」
低い声でそう話す永山さんは、付き合いを復活させてもまた同じことの繰り返しになると予想していました。
Aの彼氏が実在するのかどうかより、かまってちゃんになっているAそのものがまさに腫れ物であり、下手に関わるとどんなことに巻き込まれるか、距離ができてから関係のおかしさに気がついたそうです。
「Aに何があったのかはわかりませんが、私にも自分の生活がありそっちが大事なので、このまま疎遠でいいかなと思っています」
大事な女友達を失うことは悲しいですが、「いつまでも自分勝手を通す人とはやっぱりいつかこうなりますよね」と、永山さんは静かな口調で締めくくりました。
<文/ひろたかおり>
ひろたかおり
恋愛全般・不倫・モラハラ・離婚など男女のさまざまな愛の形を取材してきたライター。男性心理も得意。女性メディアにて多数のコラムを寄稿している。著書に
『不倫の清算』(主婦の友社)がある。