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「番組の“いじり”はイジメだと思ってた」46歳の元吉本芸人が90年代のお笑い業界に思うこと

心の声をダイレクトに表現できる「歌」に惹かれた

――でも、その後も歌の活動は続けられていますよね。 「『ぬか漬けのうた』がNHKに採用された時に、客観的に歌詞を聞き直してみたら、自分の家とは真逆の家族像、いわば理想を歌っていたことに気付いたんです。その時に歌というのは、心の奥底で思っていることが如実に現れるものなんだと。劣等感、コンプレックスを歌詞にしたためても、聞く人たちがそれぞれ自分に照らし合わせるエンターテインメントなんですよね。 対してお笑いは、嫌なことがあって疲弊していてもそれを隠して『イエーイ!』と楽しませる世界。全く違うエンタメだからこそ、歌も続けてみたいと思ったんです」 ――お笑い以外の表現方法を見つけた感覚でしょうか。 「同時に、時勢として子どもの育て方がわからない親が増えていると知り、それに伴って、幼い頃の僕と同じ気持ちを抱えている子もいっぱいいるのでは?と考えました。だから『ぬか漬けのうた』で全国の幼稚園や保育園をまわりたかった。でも歌だけでは門前払いかもしれないので、お笑い食育ヒーロー・野菜戦士ぬかづけマンをつくって活動を始めたんです」

お笑い食育ヒーロー「ぬかづけマン」の誕生

――その時、相方さんは? 「ぬかづけマンの敵役に扮して協力してくれました。最初は『何してんだよ!』とは言われましたが、『本当の仲間は僕にはおまえしかいない。おまえも僕しかいないだろ!』って説得して。結局、優しい人なので手伝ってくれました(笑)。でも、やっていくうちにじわじわと相方も食育について『大事なことかもな』と言ってくれるようになったんです」 アップダウン竹森巧さん_前編――相方さんからの理解は得られたのですね。 「はい。でも、事務所から理解はなかなか得られませんでしたけど(汗)」 ――そして2022年に2人で事務所を退社し、現在はフリーで活動をされています。 「ずっと辞めようと思っていたけど、辞められなかったんです。相方とは数年間『辞めないか』『辞めたくない』の押し問答でした。僕からすればそもそも相方に誘われて入った世界なので、一緒でないと意味がないと思っていたからです。辞めた今となっては、もちろん元の事務所に感謝しています」 ――ありがとうございました! <取材・文/もちづき千代子>
もちづき千代子
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama
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