──まず『娘はいじめなんてやってない』の制作に至った経緯を教えてください。
しろやぎ秋吾さん(以下、しろやぎ):担当編集さんから「『いじめられる方にも問題がある』ということはタブーなのかどうか」というテーマを提案してもらったのが始まりです。
個人的にも「
前作のいじめ加害者の子どもたちのその後はどうなったのだろう?」と思うところがありました。そこで今回「過去にいじめをした、された子どもたちを新たに主人公にしては?」と思い、構想を練り始めました。
──あとがきに「今回は子供のことを信じ続ける親を描いてみようと思いました」と記されていました。いじめというテーマの中で前作とは違う作品として描くうえで、どのようなことを注意しながら構成しましたか?
しろやぎ:本作ではいじめ被害者の自殺未遂という最悪の状況から始めました。ですので、
加害者側の親も被害者側の親も終始パニック状態で、「正常でまともそうな行動はしてほしくない」と思いながら描きました。
──今回は前作以上に、親のいろいろな側面が描かれていた印象です。
しろやぎ:主人公(いじめの加害者と疑われる茜の母親・青空翼)が「娘に寄り添う」と言い張るシーンがありました。その背景には「もう取り返しがつかない状況から目を背けたい」
「娘に不利益を与えたくない、現実逃避したい」みたいな“ずるさ”があったのかもしれません。
──前作を制作する際には、実際に当事者家族に取材されていたそうですね。本作でも、いじめに関与したお子さんやご家族に取材されたのでしょうか?
しろやぎ:今回は取材はしていません。ただ、いじめの手口やSNSでの反応は、参考にした実在の事件や出来事がいくつかあります。