フクチ「さらに、5年生、6年生になると、知識の土台もしっかりできているんです。例えば、LGBTQ+の言葉の意味など、
大人でもよく知らないことはありますよね。私が見学させてもらったのは6年生の授業でしたが、全体的に言葉の意味を理解している子が多かったです、関心を持って生活しているのだなと思いました。
言葉だけでなくて、
『女性はこうすべき、男性はこうすべき』という『性別役割』の意識も、偏っていない子が多かった。ジェンダーや男女平等の感覚が身についているのだなと感じました。
大人になってから性教育に出合った私たちよりも、彼らの方が下地としてしっかりと身についているんです。低学年の頃から段階に合わせて性教育を進めていくことで、高学年になった時に知識や理解がさらに深まっているんだなと感じました。
積み重ねって本当に大事なんですね」
──本書では、生理時のナプキンの使用枚数が目安として書かれています。枚数まで言及している性教育の本は珍しいと思うのですが、どのような意図があったのでしょうか。
フクチ「
災害時に被災地に生理用品が足りないとなった時に、生理時にナプキンはどれくらい使うものなのか? という議論がよく出ています。他人がどれくらいナプキンを使うかは、なかなか分からないですよね。だからこそ、目安として使用枚数を示したかったんです。
でも、
生理は期間にも個人差がありますし、経血の量も人それぞれなので、枚数を出すのは簡単ではないという意見もありました」
──たしかに、目安の枚数として提示されているのを見たことはないです。
フクチ「使用枚数を示すと必ず『そんなに多くない』『そんなに少なくない』といった議論が起こるので、出すのを避けたくなると思います。そんな中で、今回は使用枚数の目安を、ユニ・チャームさんにご確認協力をいただいて描いています。
もちろん個人差があるので、あくまで目安ではあります。でも、この目安を出せたことで、被災地での活動や今後の生活に役立つのではと思っています。
隠すものではなくて、困っている人に手を差し伸べる上での一歩を踏み出せたのかなと思います」