クロちゃんは、3日間の入院を経て退院。回復力はすさまじく、退院翌日にはゆっくりと歩けるように。2週間ほど経つ頃には、ケージの2段目にジャンプ。小走りもできるようになりました。
「ただ、傷の治りは悪くて1ヶ月ほど抜糸ができなかったので、エリザベスカラーをつけ、術後服を着て生活していました」

抜糸後は留守番時と就寝時のみケージで過ごしてもらい、他の時間は室内フリーにしていました。しかし、毎日寂しそうな声で鳴く姿に胸が痛み、術後2ヶ月目からは完全に室内フリーに。
「1ヶ月ほどは、片時も私から離れませんでした。クロちゃんは3本足での動き方より、外生活から室内での生活へ順応するほうが大変だったようで、お腹が緩くなったり、夜鳴きしたりしていました」

少しでも快適に生活してほしい。そう思い、飼い主さんはメンタルケアと並行して生活環境も整えました。猫用トイレは入りやすいよう、囲いが低いものをチョイス。初めは中でよろけないように猫砂を少なくしていましたが、排泄物が隠れるまで延々と砂かけをする様子を見て、他猫と同じ量の猫砂を入れるようになりました。

個性豊かな「にゃるる、にゃるる」という声を発しながらそばへ来てくれる
「座って食べるより伏せて食べるほうが楽なようなので、ご飯のお皿は低いものに変えました。キャットタワーは低めで、階段があるタイプです」
クロちゃんは爪とぎポールで立ち研ぎをしたり、他猫と同じスピードで追いかけっこを楽しんだりすることも。片足を失っても、猫らしい暮らしを謳歌しています。
飼い主さん宅では現在、クロちゃんを含め、7匹の猫と2匹の小型犬が暮らしています。全員が快適に暮らせるように自宅では住み分けを行っており、クロちゃんは小型犬たちや2匹の猫と同じ部屋で過ごしているのだとか。

2匹は保護犬
「犬たちとは散歩中に何度も会っていたので、初めから互いに警戒しませんでした」
1番の仲良しは、保護を見守った茶汰くん。外で会うオス猫はほぼ敵だったため、クロちゃんは当初、じゃれ合いの力加減が分からず、毎日レスリングを仕掛けてくる茶汰くんの扱いに困惑していたそう。
しかし、徐々に猫同士の遊び方を覚え、今では自らレスリングを仕掛け、追いかけっこを楽しめるようになりました。

一緒にこたつでぬくぬく
「クロちゃんは、体のどこを触っても怒ることがない穏やかな子。他猫の行動をよく見ていて、甘え方を真似します」
元気で甘えん坊なクロちゃんの“今“が嬉しい。そう思うからこそ、飼い主さんはトラバサミの危険性を訴えます。
「クロちゃんの場合は、私有地に仕掛けたトラバサミに猫がかかっていたので外してくれたのかもしれません。私も庭に野生動物が出る地域に住んでおり、農業を生業にしている方の被害を少しでも減らしたいという気持ちも理解できますが、トラバサミは野生動物に対しても残酷な行為です。法律での規制もあるので、仕掛けないでほしい」

トラバサミの使用は「鳥獣保護管理法」で規制されており、違反した場合は罰金または懲役に処されます。また、犬猫など愛護動物の捕獲にトラバサミを使用すると「動物愛護管理法」に違反する可能性が高く、罰金または懲役に処されます。
ただ、そうした規制があっても、トラバサミにかかってニャン生が変わってしまう猫はまだ多いのが現状。動物愛護の精神が広がりつつある今だからこそ、悲惨な現状が広く知られ、動物の命との向き合い方を考えていきたいものです。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291