「筋肉隆々で雄々しい選手が多い中、私が気になった選手は強さの中に繊細さを合わせ持った儚げな印象のイケメンなんですが、どんなにやられてもやられても立ち上がる不屈の精神に私は感動してしまって。
その選手を見ていると、『
私が婚活パーティーで適当に相手を見繕って結婚するのって、ただ自分の人生から逃げているだけなんじゃないのかな? 一般的な幸せみたいなものを手にしたいって気持ちも周りの目を気にしているだけだし、つまり私は自分と向き合うことをせず逃げているだけなんだ』というカッカッした気持ちになって……。
結局私は、伸之さんに別れを告げると仕事も辞めてしまったんです」

そして結衣さんは、以前からずっと好きで興味があった銭湯に勤めはじめました。
「新しい職場は服装髪色自由なので、
推し選手とおそろいの金髪にしたんです。些細なことかもしれませんが私にとってはかなりの冒険で、金髪にした自分を初めて鏡で見た時に不思議と胸がスッとしたんですよね」
そんな結衣さんは試合やイベントに通いまくり、プロレス漬けの日々を送るようになったそう。
「そしたら半年後、急に伸之さんから連絡が来てビックリしました」
せっかくだから会おうということになり、2人は食事に行く約束をしました。
「すると私の姿を見た伸之さんが『
前よりずっと生き生きしてるし別人みたいだね』と、近況を興味深げに聞いてくれて……そこから普通の友達になることができたんです」