女性になりすます男性、夜の街…私たちが安心して恋愛を始められない理由。1200人の当事者が集まったイベントで抱いた“解放感”とは
最近では、恋人探しはマッチングアプリが主流となってきました。
しかし、レズビアンやセクシュアルマイノリティ女性がパートナーを探すとき、異性愛者とは少し違った、複雑な困難が横たわっています。
女性として女性が好きな筆者は、レズビアンとして日常を過ごすなかで「出会い」に消極的だった時期があります。
そもそも異性愛者に比べると、レズビアンやセクマイ(セクシュアルマイノリティの略)の数は少なく、日常でカミングアウトをしている当事者も少ないため、マッチングアプリやLGBTQ+タウンとして知られる新宿二丁目といった夜の街に繰り出さなければ、コミュニティとつながりにくい現状があります。
そんななか、当事者との出会いを出会いを求めてマッチングアプリを開いても、女性になりすました男性や、業者によるサクラが多く見られるケースは珍しくありません。
実際にアプリでマッチした人のなかには、女性と交際している男性が彼女の写真を使ってアプリを利用し、最終的に恋人としてではなく、2人の「遊び相手」として求められたこともあります。アプリ上で「恋人募集」と記載していたにもかかわらず、やっとの思いでやり取りを始めても、「相手は本当に女性だろうか」「恋人を探しているのだろうか」という疑念が常につきまといます。
では、オフラインの出会いはどうでしょう。新宿二丁目は、ほとんどのお店は夜の時間帯がメインです。お酒が苦手だったり、騒がしい場所が苦手だったりすると、どうしても足が遠のいてしまいます。現在は、昼間から営業している店も増えてきましたが、それでもレズビアン・セクマイにとって、安全な場所で安心して出会いを探す機会は、驚くほど限られているのが現状です。
また、レズビアンとして日常を過ごすなかで、ふとしたときに壁に衝突します。私たちの日常は常に「異性愛」が前提となっており、レズビアン・セクマイは「いない存在」として扱われがちです。その結果、ふとした瞬間に見えない壁にぶつかります。
たとえば、友達からの「彼氏いるの?」という何気ない一言。悪気がないのは分かっていても、その度に「いません」とだけ答えるか、「女性のパートナーがいます」とカミングアウトするかの選択を迫られます。
また、パートナーとの同棲を考えて不動産に訪れた同性カップルの知人によると、「ご関係は?」と問われ、言葉に詰まったといいます。同性カップルというだけで審査に通りにくいため、友人同士だと偽って住まい探しをしていた話も珍しくないのです。
こうした一つひとつの経験は些細なことに見えるかもしれませんが、自分を偽るか否かの選択や、社会の制度から取り残されているという感覚の積み重ねは、気づかぬうちに当事者の心をすり減らしていくものです。




