
一方、全世界株式(オルカン)は、文字通り、全世界にまるっと投資するファンドです。47カ国、約3000社に分散投資が可能で、世界の経済大国から新興国までを幅広くカバーします。例えるなら、経済界の国連のような存在です。
全世界株式の主な強みは以下の通りです。
強み①“世界の覇権がどこに移ってもOK”な安心感!
今はアメリカが経済の覇権国家ですが、ずっとそうとは限りません。中国、インド、あるいはAIで新興国が伸びるかもしれません。未来は正直分かりませんが、全世界株式なら、どの国が伸びても自然とその恩恵を受けられるんです。「覇権の行方がわからないから、全部買っとけ!」という戦略は、ある意味最強の保険と言えるでしょう。
強み② 国別の比率も“勝手に”変わる!
全世界株式もS&P500と同様に時価総額に応じて自動で調整されます。例えばインドの株価が上がれば、全世界株式内のインド比率も上がるため、伸びている国を勝手に重視してくれるという、超賢い仕様になっています。
強み③ リターンはS&P500より低めだが“寝かしやすい”!
全世界株式の年平均リターンは、過去30年でおよそ7~8%程度と、S&P500にはやや劣ります。しかし、「万が一アメリカが……」と心配しなくていいのが最大のメリットです。もしアメリカが大きく下落しても「他の国が支えてくれる」と思える安心感が、暴落時のメンタルケアにとても効果があるのです。
ここでひとつ、絶対に覚えておいてほしいことがあります。それは、「どっちに投資しても、いつか必ず暴落はやって来る」という現実です。S&P500も全世界株式も、基本は株式100%のリスク資産であるため、評価額が半分以下になることだって普通に起こり得ます。

例えば、2008年のリーマン・ショックではS&P500が50~60%下落し、2020年のコロナ・ショックではわずか1カ月で約30%下落しました。
このような大きな下落が10年に1度くらいの頻度で“必ず”来る、という前提で投資をすることが重要です。「年率10%!」「20年で資産が3倍!」のような数字だけを見て舞い上がってしまうと、暴落時に狼狽売りしてしまい、結局リターンどころか損失だけを残すことになります。
だからこそ、投資は必ず「余剰資金」で行いましょう。生活費、教育費、住宅ローン返済などの資金に手をつけてはいけません。そしてもうひとつ、資産評価額が一時的に50%以下になっても、売らない覚悟を持てるか、これがインデックス投資最大の試練になります。暴落は前提、乗り越えるのがデフォルト。この心構えを忘れないでください。