その日、哲也さんと一緒にたんぱく質たっぷりの料理を作って食べようと約束していた沙也加さん。心細い気持ちからか、予定していた時間よりかなり早く到着してしまったそう。
「玄関を開けたら哲也が慌てふためいていて、そんな姿は初めて見たので驚いてしまいました。そして、
明らかに押し入れに何かを隠したのが見えてしまったんです」

なぜか哲也さんは自分の両手も後ろに隠していて、明らかに不自然に見えました。沙也加さんは「もうどうにでもなれ!」という気持ちで、
哲也さん必死の静止を振り切り、押し入れを強引に開けました。
「そしたらなんと、私の名前が書かれた半紙が何枚もあり、よく見たら哲也の手は墨で汚れていて……要は書道をしていたんですよ」
話を聞くと、実は哲也さんは子どもの頃から書道を習っていて、大人になった今でも精神統一のために無性に筆をふるいたくなるんだそう。
「
そしてなぜか、好きな人の名前を完璧に書きたいという欲が湧くそうなんですよ(笑)。なんて変わった癖なんだと驚き、哲也の話をとても興味深く熱心に聞いてしまいました」

哲也さんは以前にも元カノに、書道している姿と、彼女の名前を書いたたくさんの半紙を目撃されてしまったことがありました。そのとき、「
呪いみたいで気持ち悪い!」と悲鳴まじりに全否定されてしまったトラウマから、沙也加さんには内緒にしておこうと考えてしまったといいます。