「ある日、インターホンのカメラを見ると湊くんが玄関前に立っていて『
お母さんがお家にお邪魔しても良いって言ってました』と言うんです。正直驚いたのですが、この日は特に用事もなかったため、家に招き入れることにしたんです。
すると
『お腹が空いた』『YouTubeが観たい』『ゲームやりたい』と要求が多く、違和感を覚えました。湊くん自身は次男とも一緒に遊んでくれたりと優しい子なのですが……。『お母さんからはテレビゲームを禁止されているから、ここでやりたい』と言うので、勝手にゲームをさせて良いのかも分からず、頭を悩ませこの日はボードゲームをすることで納得してもらいました」

相手の親御さんと連絡が取れないことが良くないと思い、
湊くんを介して連絡先を渡したものの、先方の親から連絡が来ることはありませんでした。
「私が料理をしていると、『なに作ってるの? 手伝いたい!』と言ったり、息子と遊びつつも私とのコミュニケーションを求めているようにも見えて、複雑な感情だったことを覚えています」
「我が家が家族で旅行に行く予定があった日も、朝8時ごろに湊くんが来ました。息子は玄関先で『今日から旅行に行くから遊べないよ、ごめんね』と断っていたのですが、
湊くんが『じゃあ、ゲームだけ貸してほしい』と言ってきたのを聞いて、とても驚きました。息子はもちろん断ったのですが、すると今度は『じゃあこのボール貸して!』と庭にあるボールを手に取ったんです。息子は『一緒に遊べないから貸すことはできない』と言ったようですが。
あとから息子に聞くと、『
湊くんは、ゲームをお母さんに取り上げられていて、お菓子も禁止なんだって。毎日外で遊ぶように言われているみたい』と言うんです。この時、この子はいわゆる“放置子”なのかもしれないという考えが頭をよぎりました」
話し相手が欲しいだけなのか、ゲームがしたいのか、お菓子が食べたいだけなのかとグルグルと考えていたという栞さん。そんなことを考えながら家族旅行に出発したそうです。