この日本地図のなかで、きょくにゃんさんが特におもしろいと思う都道府県、おもしろいと思う苗字があれば教えてください。
「興味深いなと思う苗字や地域は、それこそすべてのものになります。
ただ、鹿児島県は苗字の種類自体が多いので“地域特有の苗字”も多い。沖縄県は分布するほとんどの苗字が特有なので載せるのが大変でしたし、『まだまだたくさんある!』と感じた人は多いと思います。そういう分布の多様さがおもしろいですね」

“地域特有の苗字”が多い鹿児島県

ほとんどが“地域特有の苗字”の沖縄県
ところで、Xで「突然地域特有の苗字を指摘してフォロワーを怖がらせましょう!」と投稿されていましたが、きょくにゃんさんも実際にそういう怖がらせ方をしたことはあるのですか?
「Xでその人のポストの内容と住んでいる地域から、フォロワーさんの苗字を当てたことがあります。
あと、『君この地域の出身なの? じゃあ〇〇って苗字の人知り合いにいるよね』というのは、実際にそのフォロワーさんの知り合いの苗字を当てた経験があったから書いたポストなんです」
SNS上のつながりしかない人から急に苗字を当てられたり、それだけでなく知り合いの苗字を当てられたらちょっとびびりますね……。
「もちろん、僕も仲の良いフォロワーさんにしかそんなことはしてないですよ(笑)」
今回の日本地図はXでバズりましたが、フォロワーさんからのさまざまな反響を見てどう思いましたか?
「みなさんが思う苗字のイメージや、その都道府県に住む人が地域内の苗字の分布をどう感じているかを知れてうれしいです。
ただ、この画像だけを見ても苗字の奥深さの一端しか知ることはできません。ぜひ、みなさんもご自身の苗字について調べたりしてほしいです」
ちなみに、きょくにゃんさんが苗字に興味を持ち始めたきっかけはなんだったのでしょうか?
「小学生の頃、『四月一日(わたぬき)』、『八月一日(ほずみ)』という難読な苗字があると知ったのをきっかけに、電話帳や名簿などでよく苗字を探すようになりました」
最後にきょくにゃんさんが今、特に力を込めて研究していることはなんですか?
「苗字の分布と伝播について、特に興味があります。苗字が発祥し、人々の移住によって苗字が移動して、現在の分布になるまでには長い歴史がありました。とても一朝一夕でわかることではありませんが、非常に興味深いので調べているところです」
深いようでやっぱり深かった苗字の世界。“地域特有の苗字”にフォーカスした今回の日本地図は文句なしにおもしろかったですが、苗字について深堀りするとその先にはより深遠な世界が広がっているようです。
それにしても「苗字の分布と伝播」というテーマは、また深堀りしがいがありそうですね……。きょくにゃんさんの研究発表を楽しみに待ちたいと思います!
<取材・文/寺西ジャジューカ>