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「こういうおじさんいる!」と思えた。朝ドラ『あんぱん』27歳俳優の“初老の演技”に注目

前半部と対照的な挙動

 後半部もクライマックスになるにつれ、今度は前半部ののけ反りと対照的な動きをするようになる。挙動といった方がいいかもしれない。「あんぱんまん誕生」とタイトルが付いた第24週第118回を確認してみよう。  やっと雑誌に掲載され、世にでたものの、『アンパンマン』の人気と話題性は今一つ。そこでのぶが少しでも興味を持ってもらおうと、子どもたちに読み聞かせをする。その部屋の前を嵩がふと通りかかる場面だ。  廊下の角をまがってきた嵩を手持ちカメラが後退しながらフォローする。相変わらず頼りない挙動。でものけ反ってはいない。むしろ前屈み(年のせいかな?)で歩いている。部屋の前で足を止めて嵩が中をのぞく……。

27歳が表現する初老感

朝ドラ『あんぱん』©︎NHK カメラは部屋の中から嵩を捉える。扉の窓枠に嵩の顔。前屈みで部屋の先まで行き過ぎたのか、少しだけバックしているのがわかる。挙動の表現もここで極まる。窓枠から部屋をのぞき込むときの、何ともいえない初老の表情がいい。  あぁ、こういう動きするおじさんいるよね。みたいに、ものすごくリアル。時代は1973年。柳井嵩役のモデルであるやなせたかしは当時、54歳。現在27歳である北村匠海は、ひたすら芸が細かい。  第25週第124回では、『アンパンマン』のミュージカル版『怪傑アンパンマン』を上演する。動員に協力するのぶが、読み聞かせをする子どもたちにチラシを配る。そこへ嵩がやってきて、前屈みで部屋の扉枠に右手をかける。ちょっとした手のかけ方が表現する、初老感がとてもいい! <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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【放送情報】
『あんぱん』特別編
9月29日(月)~10月2日(木)(全4回)
[NHK総合]夜11時~11時25分
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