後半部もクライマックスになるにつれ、今度は前半部ののけ反りと対照的な動きをするようになる。挙動といった方がいいかもしれない。「あんぱんまん誕生」とタイトルが付いた第24週第118回を確認してみよう。
やっと雑誌に掲載され、世にでたものの、『アンパンマン』の人気と話題性は今一つ。そこでのぶが少しでも興味を持ってもらおうと、子どもたちに読み聞かせをする。その部屋の前を嵩がふと通りかかる場面だ。
廊下の角をまがってきた嵩を手持ちカメラが後退しながらフォローする。相変わらず頼りない挙動。でものけ反ってはいない。むしろ前屈み(年のせいかな?)で歩いている。部屋の前で足を止めて嵩が中をのぞく……。

カメラは部屋の中から嵩を捉える。扉の窓枠に嵩の顔。前屈みで部屋の先まで行き過ぎたのか、少しだけバックしているのがわかる。挙動の表現もここで極まる。窓枠から部屋をのぞき込むときの、何ともいえない初老の表情がいい。
あぁ、こういう動きするおじさんいるよね。みたいに、ものすごくリアル。時代は1973年。柳井嵩役のモデルであるやなせたかしは当時、54歳。現在27歳である北村匠海は、ひたすら芸が細かい。
第25週第124回では、『アンパンマン』のミュージカル版『怪傑アンパンマン』を上演する。動員に協力するのぶが、読み聞かせをする子どもたちにチラシを配る。そこへ嵩がやってきて、前屈みで部屋の扉枠に右手をかける。ちょっとした手のかけ方が表現する、初老感がとてもいい!
<文/加賀谷健>
加賀谷健
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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