――ボタンを押して、70万円は振り込まれたのでしょうか?
「ボタンを押した瞬間に、画面上に『口座残高:0円、凍結:705,000円』と表示され、お金が振り込まれることはありませんでした。
まだ商品も手元にないのにお金が振り込まれるほうが怖いので、『こういう手口かぁ』くらいにしか思わなかったのですが、その後、凍結していることを依頼元に伝えてみることにしました」
――依頼元の反応はどうだったのですか?
「凍結されている事実を伝えると、依頼元は『凍結されているとのこと、大変驚きました』『初めての状況で、とても心配です!』という反応でした。そして、すでに報酬の支払いを完了しているので、オンラインサポートに凍結の原因を確認するよう言われました。
『そのサイト上でトラブルがあったのかもしれない』と言いたかったのだと思います。私としては、最初からこういったシナリオだったのではないかと思ったんですけどね」

「依頼元の方にオンラインサポートに連絡するよう言われたので、誘導されたサイトのオンラインサポートに連絡をし、凍結の解除をお願いしました。すると、
本人確認のために報酬として振り込んでいただいた70万円の50%を、私名義の口座から指定された口座に振り込むよう言われました。そうすることで凍結が解除され、振り込んだお金も即時に返金されるということでした。
依頼元が詐欺の手口としてこのシステムを使って“凍結”させ、お金を振り込ませる手口なんだと分かりましたが、依頼元は現状では70万円振り込んでいる被害者のような立場なので、詐欺とは思いつつも“依頼元も私と同じ被害者”として接してみようと思ったんです」
――依頼元の方も被害者のような立場であやねさんに接してきていたのでしょうか?
「この時点では、依頼元は70万円の詐欺に遭った被害者。そして私は報酬が受け取れず、お金を振り込むように言われているといった状況です。先方も被害者ではありますが、なぜか『長期的に契約させていただいているプラットホームなのでご安心ください』と何度も言われ、法務部門を介入させ適切に処理すると言われたことで、怪しさが増しました。
私は次の被害者が出ないように念のためサイバー警察に連絡を入れて、誘導された振込サイトをブラックリストに入れてもらいました。電話をしながら振込用のサイトを再度確認すると、サイトの名前が変更されていることが分かりました。振込サイトの運営元を調べて電話してみると、証券会社のオペレーターにつながったので、怪しいですよね」