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控えめすぎる神木隆之介が、突然ヘンなポーズで笑わせに来た!子役から芸歴30年の存在感|ドラマ『もしがく』4話

菅田将暉を励ます、印象的なシーン

神木隆之介は『もしがく』のなかで唯一、ナチュラルだ。そのせいで極めて控えめに見えてしまうが、芸歴30年、善人もちょっと悪魔的な役も自由自在に演じてきた天才俳優の誉も高い神木だからどんなに控えめでも決して埋没することはない。猥雑な八分坂でちょっと浮きながら、あらゆることにやさしく穏便に対応している好青年を的確に演じている。うる爺(井上順)が台本に穴をあけて紐を通していると「ホチキスで止めましょう バラバラになっちゃいます」と穏やかに接する。前にも注意したのに聞かない爺をほったらかしにすることなく、懇切丁寧に接する。
『もしがく』4話場面写真(C)フジテレビ

うる爺。『もしがく』4話場面写真(C)フジテレビ

うる爺をはじめとして、誰ひとり言うことを聞かず好き勝手にやっているので、明日の公演は絶対に失敗すると久部は焦りはじめた。蓬莱を屋上に呼び、落ち着かない心境を語る。 このときの蓬莱も実に聞き上手。「久部さんのシェイクスピアは好きです。面白いと思います」と言って、久部を安心させる。それで「自信もっていい 君は立派な演出助手だ」と久部からのお墨付きをもらった。  演出家の気持ちを受け止めて肯定する。それが演出助手のお仕事らしい。そう、『もしがく』では他者の話に誰も耳を傾けないから、蓬莱の存在が貴重だ。

このまま染まらずに、癒やしの存在でいて

 久部自体が、例えば、占い師のおばば(菊地凛子)が「昔、東宝ミュージカルに出たことがあるの」と言ってもスルー。そうなんだ?と話を発展させない。おばばが「おまえは人に甘い」「甘さで足元をすくわれ、甘さで人に救われる」と謎のダジャレめいた予言をすると「わかんないよ 言ってることが」と聞く耳をまったくもたない。わからなくていいと言いながら、自身はわからないものを否定する。困った人なのだ。  自分の芝居をよくするために「天上天下」(久部が追い出された劇団)のパーライトを盗み出すことも厭わない。怒った「天上天下」主宰者の黒崎(小澤雄太)はゲネに乗り込んで来て、芝居の最中に客席で大声を出す。
『もしがく』4話場面写真(C)フジテレビ

『もしがく』4話場面写真(C)フジテレビ

 そこで俳優たちは芝居を止めることなく続けるところはグッと来る。さらにグッと来るのは、最後のパックのシーン。久部は「ノーシェイクスピア、ノーライフ」と振り付きで蓬莱のセリフを言う。ひたすら人の話を聞いてきた蓬莱が報われた瞬間だった。演助としていい仕事をしてくれた久部なりの礼だろうか。  そのときの蓬莱の嬉しそうな顔。これもまたナチュラルだった。神木隆之介はひとりで『桐島、部活やめるってよ』(12年)的な文化系男子の青春群像を担って見える。このまま染まらずに、癒やし的な存在でいてほしい。
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実は「人を笑わせたい」神木くん
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