Fashion

今買って「すぐダサくなる服」と「10年着られる服」の一番の違いは。“長く愛せる服の買い方”をスタイリストが解説

5年以上続くロングヒットアイテムの特徴

 その一方で、すぐ廃れると言われていたのに結果的に5年以上トレンドとして定着しているロングヒットアイテムもあります。  具体的なアイテムでいうと「ワイドパンツ」、「オーバーシルエット」などは2015年前後から登場し始めて10年経った今でも親しまれています。  また、ファッションスタイルでいうと、2010年代から耳にすることが増えた「ノームコア(究極的に普通の服)」のスタイルは、時代とともに微妙な変化を見せながらも、広く深く、全世界共通で今も支持されています。 ロングヒットアイテムの服 トレンド服でロングヒットを果たしやすい服の特徴は「着ていて楽」「着回しができる」「体型を隠せる」といった要素が非常に強いです。  今はもう主流ではないですが2005年から2010年前後の5年にかけてブームとなったスキニーパンツも、当時は「動きやすくて楽」「脚を長く見せる効果を持つ」といったプラス面の要素が支持されていました。この頃の女性はハイヒールやパンプスが主流だったので、ヒールを履くことを前提に着こなすスキニーパンツが人気になったのも頷けます。

景気が悪い時代でも日常的に着つづけられる服

 IT革命が始まった2000年から25年が経つ今。情報の広まる速度が急速に上がったことで、トレンドのサイクルも年々早まっています。サイクルが早まるというよりは、トレンドが現れてもすぐに次のトレンドがSNSで拡散されるといったように、SNSのサイクルがファッションにも影響しているようです。  せっかく目新しいアイテムが登場しても、それが浸透しきる前に流行の鮮度が落ちてしまい、一過性のものとなっていく。そんな現象というまたトレンドサイクルが短くなる原因のひとつのようですね。そのためアパレル企業の戦略もここ10〜20年で変化し、ヒットするかどうか分からない目新しいデザインの服を博打的に販売するよりも、手堅く支持される安定のアイテムを多く展開するようになりました。  キレイめ・OL系のアパレルブランドとギャル系のアパレルブランドで似たような商品を売っているということも、現代のファッション業界ではなんら珍しいことではありません。どのブランドも似たような商品を置く。そして店頭に似たような商品ばかりが増えると、目につく頻度が増える。買い物に来た客は、それが今流行っているんだと勘違いを起こし、取り入れる人が増える。そのサイクルがもう何年も繰り返された結果、安定的に手堅いアイテムだけが息長く流行し続けているのではないでしょうか。  こう考えると、長く愛されている服というのは、デザインがおしゃれだからというよりは「景気が悪い時代でも日常的に着つづけられる服」といった、“必要な服”として売れているのかもしれません。
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