――『ナースのお仕事3』はちょうど2000年の放送作です。遡って1996年に金子さんは脚本家デビューしましたが、当時と今のドラマ作りは何が違うと思いますか?
金子:そうですね、むしろ今も昔も変わらずにドラマ作りは難しいなと思います。狙って当たるものでもないですし、頑張って時間をかけたから当たるものでもない。奇跡的な偶然が左右する世界です。その中でも一つ言えることは、私個人としての価値観が固まったと思っています。
昔は視聴率など数字の評価をとても気にしていた時期もありました。幸い、このドラマはそういった評価もいただけていますが、でも今は視聴者の皆さんにドラマがきちんと愛されているという実感が何より大事だと思っています。あの人たちに会えてよかった。あの人たちにまた会いたい。それがドラマの幸せではないかと思います。
おそらく『恋する警護24時』はそういう愛され方をしているから前作からseason2までスムーズに成立したのだと思います。現場でも辰之助にまた会いたい、その活躍が見たいという思いから一丸となって作られていた。主演である岩本さんも、レギュラーである皆さんもまた集結し、続投してくださいました。この時代にこれほど幸せな仕事はないと思います。
――辰之助に会いたくなるという意味では『恋する警護24時 season2』は最終回放送後に相当なロスになるドラマだと思います。前作の出会い編、season2の遠距離恋愛編を経て、早くもseason3に期待したいところですが……。
金子:終わったばかりなので正直、まだ何も考えていません(笑)。シリーズ作品として続けていくには『なぜやるのか?』の理由が必要です。まず視聴者の皆さんが会いたいと思ってくださること。もしそれが叶えば、辰之助がどう輝くのか、何ができるのか考えていきたいです。私は今後、Snow Manの岩本さんを見る度に「辰之助は元気かな」とふと思う気がします。何なら岩本さんも鏡を見た時にふと思ってもらえたら(笑)、そして視聴者の皆さんも時折思い出して頂けたら嬉しいです。
最終回、辰之助が揺れ動き、悩んで到達したもの、彼が大切に思ったことを物語に込めたつもりなので、受け取ってもらえたら幸いです。ラストの辰之助の表情、素晴らしいですよ!
<取材・文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:
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