「そんなお母さんに気を遣わなくても大丈夫だよ! 横を通ったくらいじゃ起きないから」
その言葉に、美奈代さんは愕然としました。これは「気を遣う、遣わない」の話ではないし、恋人同士の生活空間に、母親が無断で、しかも恒常的に入り込もうとしていること自体が問題なのだと。

「思わず感情が爆発してしまい『勇人も勇人だよ! そんな時は「ここは美奈代と僕の部屋だから、たまに僕がそっちに帰るし、いい加減子離れしなよ」ぐらい言いなさいよ!』って怒鳴ったら、喧嘩になってしまって」
2人にとって、これが初めての大きな衝突でした。しかし話し合いは、最後まで平行線のままだったそう。
「『お母さんを泊まらせないって約束して! この布団も返品して!』って叫ぶ私に、『それはできない。ここは僕の部屋でもあるんだから』って、すごく冷静に返されて……」
その温度差に心が折れ、美奈代さんは衝動的に部屋を飛び出しました。その夜は友人の家に泊まり、勇人さんからは何度も着信があったそう。
「一晩寂しい思いをしたから、私のありがたみを感じてその存在の大きさに気づいてくれたらいいなって、正直思っていました」