痴漢抑止バッジで痴漢と関係のない学生も活動に巻き込んでいく
――痴漢抑止活動センターでは、主にどんな活動をしているのでしょうか?
松永:メインの活動として行っているのは、毎年開催している「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」で、2025年で11回目になります。
――ということは、バッジは毎年リニューアルされているのですか?
松永:リニューアルというか種類が毎年増えていて、痴漢抑止バッジは現在50種類くらいあります。

現在、痴漢抑止バッジは約50種類ある
マタニティバッジみたいにデザインを1個に絞るほうがコストや手間はかからず、本当はそのほうがラクなんです。でも、このコンテストをなぜ毎年開催するのか?
痴漢の被害者って高校生や大学生など学生が圧倒的に多いのですが、すべての学生が被害に遭っているわけではありません。「俺、男だから関係ない」「私、自転車通学だから関係ないし」という子も多いです。
そういう子たちに「痴漢はあなたたちに身近な犯罪で、同じ年頃の子が狙われているんだよ」と知ってもらうことも抑止活動の一つです。加えて、「あなたたちが考えたデザインで同世代の仲間を助けてほしい」というメッセージをコンテストを通じて伝える必要もある。

「同じ年頃の子が痴漢に狙われている」と知ってもらうことも抑止活動の一つ
――コンテストを開くことで、痴漢に関係なく通学している子たちも痴漢抑止活動に巻き込んでいくんですね。
松永:それだけでなく、自分の娘や息子が痴漢抑止バッジをデザインしていたら、保護者も興味を持ってくれるじゃないですか? だから、いろいろな層を巻き込むことができるんです。
今まで、16,636人の方がコンテストに関わってくれました。それだけの人が痴漢問題について考える機会があったという事実。これは、意義としてすごく大きかったと自負しています。
今年のコンテストには1,114作品の応募がありました。11月4日からWeb上で行う最終審査は誰でも参加できます。
――最後の質問ですが、痴漢抑止活動センターではどんな社会になることを目指されていますか?
松永:それは、痴漢抑止バッジが必要ない社会です。
――そうですね。
松永:はい。痴漢がいなくなって、痴漢抑止バッジがなくても安心できる社会。あらゆる性暴力がなくなること。
――同じ女性側から「なぜ、女性側にばかり負担を強いるのか?」という声もあったそうですが、そういった負担も必要のない社会ですね。
松永:必要ない社会ですね。
痴漢抑止バッジコンテストに参加してくれた学生は、痴漢をしない大人になると思うんです。また、痴漢や盗撮の現場を目撃したら被害者を助けてくれる存在になると思います。そういう人が増えていけば、痴漢をやりにくい社会になるじゃないですか? それが一番いいと思っています。
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痴漢抑止のための活動をしているはずが、男性側だけでなく女性間でも巻き起こっていた賛否両論。しかし、それらの声をすべて飲み込んだうえで「痴漢抑止バッジが必要のない社会」を同センターは目指します。
広い視野で押し進められている、この痴漢抑止活動。女性と男性が協力し合い、初めて取り組みは成就します。
<取材・文/寺西ジャジューカ>