そんなふうに、心がいちばん不安定になりやすい“OSの切り替え時期”に、SNSを開くとどうなるか。そこには、まるで「正解」のような道を進み、成功している誰かの人生が、24時間いつでも流れてきます。
「あの子はこんなキャリアを築いている」「この人は理想的な結婚をして幸せそう」
そんな投稿を見てしまうと、自分が選ばなかった道が正解に見えてきてしまう。
でも、40代になった今だからこそわかるのは、SNSは“人生の展示会”のようなものだということです。
そこに並んでいるのは、きれいにライティングされた一部の作品だけ。いわば、誰かが丁寧に切り取って、カスタマイズした「完成形の画面」です。
その裏側にある葛藤や涙、うまくいかなかった時間までは、映し出されません。
だから、いま自分がつくろうとしている「自分自身の価値観」と、あえて比べる必要はないのだと思います。
むしろ素敵な投稿に出会ったときは、「こんな選択肢もあるんだ」と、未来の可能性を知るきっかけとして受け取ればいい。
比べるものではなく、世界の選択肢を広げてくれるカタログのように、エンタメとして楽しむ。
とはいえ、当時の私はやはり例外ではなく、SNSを見ては落ち込んだり、誰かと自分を比べてしまうことも、何度もありました。

スタートアップ企業に転職してから、「マイルストーンから逆算して考える」という言葉をよく聞くようになりました。
マイルストーンとは、プロジェクトの中間目標地点のことをいい、そこから逆算して、スケジュールを立てていくことがビジネスの現場では重要だとされています。
転職当初は「マイルストーンって何ですか?」と聞いていたはずなのに、今では当たり前のようにその言葉を使っている自分に、嫌気がさすんですが(笑)。
仕事において、この“逆算思考”が大切なのはよくわかります。けれど、個人の人生においても同じように、「未来のために今は歯を食いしばって耐える」生き方が本当に正解なのか――ふと立ち止まって考えることがあります。
偉大なスポーツ選手や成功している女性タレントの方々は、このマイルストーン思考、つまり目標から逆算する生き方を勧める方が多いですよね。逆算のマイルストーンをしっかり立てたら人生変わったよというような。
でも正直にいうと、私はそんな生き方がちょっとしんどいなと思っていて。
明確な目標に向かって、頑張り続ける。それが苦ではない人もいるのだと思います。でも私はそういう生き方が苦しくなることがある。だから永遠の三流なのかもしれませんが(笑)。
だから、そういう発信ばかりが目について苦しくなったときは、いったんSNSを閉じて、スマホをバッグにしまいます。
そして、目の前の「今」に意識を向ける。窓の外の雲、通り過ぎる人の靴の音、今食べているものの味を感じてみる。
そうすると、不思議と、さっきまで「ヘタレだな」と思っていた自分の気持ちも、大切なものに思えてくることがあります。