不動産屋のお兄さんの、冷たすぎる反応【シングルマザー、家を買う/第4章・中編】

<シングルマザー、家を買う/第4章・中編>

バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。

⇒【前編】はコチラ

若いお兄さんは、1秒で即答した



 職業上、人の表情を観察するのは得意だ。相手が無理やり話してるなとか、もう話したくないなとか、めんどうだなといったネガティブなサインはビックリするくらい受け止めるのが早い。インタビューを10年し続けていれば、そのくらい私にだってわかる。

 まさにこの不動産屋は「明日の『アメトーク』のテーマはなんだったけな~」くらいのレベルでしか私の話を聞いていないことがわかったのだ。

「……あの、私、家を買えますかね?」

 思い切って聞いてみると、衝撃的な答えが返ってきた。

「あ~、誰かご両親とかにお金を出してもらえるなら大丈夫だと思いますが」

……意味ないじゃん。

不動産屋のお兄さんの、冷たすぎる反応 ていうか、出戻りの時点で迷惑かけてんのにスネかじるなんて絶対に嫌だし! 両親は年金だけじゃ足りないから、定年過ぎてもアルバイトしているくらいだし!

 私が小学生のときに初めてお金をためて買ったのが、親が買ってくれなかったベッドってくらいシビアな家庭なのに、お金を出してくれるなんてありえない!

 出戻りしてきて弱った無収入の娘に、「うちに住むならちゃんと生活費いれてよね」とサラッと言い放ったうちのシビアな経済状況を知って言ってんのか! 「○○さんちは結婚資金を全部両親がだしたみたいよ~」「○○さんは出産祝いでマンション買ってもらったんだって~」そんな巷の会話を夢の世界の住人だと思い込んできた団地育ちに何言ってんだ、この不動産屋。

 てかこの駅の住人は、ほとんど団地育ちでお金持ちは少数派なのに、こんなこと言って営業が成り立つのか? てかお前は絶対ボンボンだろう! お前、絶対彼女いないだろう!

 そんな風にどんどん矛先が変わってくるあふれ出る怒りを必死に押さえ込んで、その不動産屋の若いお兄さんにもう一度聞いてみた。

「うちの両親は年金生活なので、私ひとりで買いたいんですが…」

 すると1秒もかからず即答したのがこれ。

「あ~、難しいですね」

 チーン。

 なぜか「こちらで預からせていただきますね」といわれた私の個人情報すべてを記入したアンケートに別れを告げ、お店を一歩出ると、自然と涙が溢れてきた。

⇒【後編】「人間、『悲しい』ぐらいじゃ死にはしない」に続く

<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

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