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「年収200万の母子家庭に金は貸せない」ってか【シングルマザー、家を買う/8章】

<シングルマザー、家を買う/8章>

バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。

(前回までのお話)
内見2軒目は、築35年、1290万円の団地だった。土壁のゴミ屋敷だが、「リフォームすれば何とかなる!」と購入を決意した。元ラガーマン(予想)の熱血不動産屋が言った、「これからが正念場です」の真意とは――。

「ローンがおりません」。頭の中が真っ白に



 不動産屋に戻ってきてから、ラガーマンにもういちど、購入の意思を伝えた。

「この家に住みたいです」と。

 するとラガーマンは少し間を置いて、「とりあえず、こちらにお座りください」と奥の部屋に通してくれた。

 なんだろう、この雰囲気。買えないの? やっぱりフリーランスの母子家庭じゃ買えないの!?

 向かいに座ったラガーマンは開口一番にこう言ったのだ。

「吉田さん。正直な話をすると、いまの年収ではローンがおりません」

 頭の中は真っ白だ。

 やっぱり、夢が大きすぎたのだ。

「年収200万の母子家庭にカネは貸せない」ってか【シングルマザー、家を買う/8章】 この当時、私は産休を取っていたため、年収は200万以下。さらに、雇用されていないので、保証がない。

 1年前の年収も、仕事をセーブしていたため、300万円もない。でも、ライターとして順調で、長女を産むまでは500万円ほど稼いでいた。がしかし、基本的に、不動産屋でローンを組むときに参考するのは過去1年、さかのぼっても2年なのだという。

 となると、この4年前の確定申告書を持っていたとしても、もはや過去の栄光でしかないのだ。もう、銀行には私は年収200万円以下の母子家庭としか見られていないのだ。さらに、フリーランス。そりゃ、通るわけないよな…。

 明らかに肩を落とした私を見て、ラガーマンは口を開いた。

「でもね、吉田さん。僕は最初に“欲しい人に、必要な人に家を売るのが僕の仕事なんです”と言ったじゃないですか。だから、絶対にこの物件は売りたいんです」

 もう、惚れるよね。

 今までこんなに私のことに真剣になってくれた人はいただろうか。それがたとえ営業だったとしても、こんなに情熱を傾けてくれた人はいただろうか! それがたとえ営業だったとしても!(2回目)

 もはや、“あなたのため!”といってネズミ講にハマってしまう人の気持ちもわからくもなくなってきた。もう、あなたのことが好きです!

 いま考えると、完全につり橋効果である。人間ってカンタン☆

 そんな一言のあと、ラガーマンは、声が小さなおじいちゃんが作ってくれた公正証書と、過去2年分の確定申告書をコピーし、少し考えますとその日を後にした。

⇒【中編】「ローン会社の人に言われた、残酷なヒトコトとは…」に続く http://joshi-spa.jp/196225

<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

※このエッセイは毎週水曜に配信予定です。

シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

シングルマザーが「かわいそう」って、誰が決めた? 逆境にいるすべての人に読んでもらいたい、笑って泣けて、元気になる自伝的エッセイ。

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