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「頭金ゼロで買える」の落とし穴。え、120万って?【シングルマザー、家を買う/9章】

<シングルマザー、家を買う/9章>

バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。

(前号までのお話)
年収200万円以下の母子家庭に、金なんか貸せるか――と言わんばかりのローン会社の対応に、ショックを受けた筆者。だが、年金暮らしの父親が「共同名義で親子ローンにしよう」と申し出てくれた。

フリーって何歳まで食べていけるんだろう?



 家を買う。

 今まで簡単に考えていた自分だったが、これまでにないくらいのプレッシャーに襲われたのも、ローンを親子ローンに決定した頃だった。私が死んだら、私に何かがあったら、父親とこの小さな子ども二人に負担がいってしまう。それだけは避けたい。だからこそ、しっかりと働かなくちゃいけない。

 このとき、私は30歳。ローンを35年払い終える頃は65歳だ。

 …え? 65歳!?

 そこでふと頭の中に疑問がよぎった。フリーライターの定年っていつなんだろうか。

 というか、50歳過ぎてもライターって出来るのだろうか。そう思い始めると、不安で仕方なくなってくる。というか、65歳までちゃんと生きていけるのだろうか!?

 そんな不安を抱えながらも、持ち前のポジティブな“発想の転換スイッチ”を入れて考え方を変えてみた。

 私が50歳になれば娘は24歳。息子も22歳。もしローンがどうにも払えなくなったら、今の家を売り払い、最終的に都営住宅に引っ越せばいい。そう考えることにした。というか、もう考えすぎたって何もいいことがない。どうなるかなんて神のみぞ知る。そうだ、地球滅亡がいつなのかわからないのに、そんなことに怯えて母子家庭なんかできるか!

 相変わらず極論で考えるクセが治らない私は、完全に勢いで親子ローンの契約書にサインをし、捺印をした。絶対に父親にも、子どもにも迷惑はかけられない。その想いが、さらに頑張ろうと思う力となった。

シングルマザー、家を買う/9章(1) と、少々熱くなってはみたが、毎月のローンは共益費込みで6万円もいかない。はっきり言って激安だ。いまどき、この値段ではワンルームにしか住めない。さらに65歳まで払う自信はないので、30年に短縮してもらった。それで、この値段というのだから、嬉しい。そして6万円なら、ライターとして仕事がなくなっても、時給のパートでフルタイムで働けばなんとかなりそうだ。よし、そうしよう。

 我ながら、このポジティブっぷりにはため息が出る。まぁ、それは長所として大事にしよう。

えっ、「初期費用」120万円って?



 さて、私の意志が固まったところで、ラガーマンはなんとも自然な話し口で「初期費用」という言葉をさらりと出した。

 思わず私が「え?」と聞き返すと、ラガーマンはニッコリと微笑んだ。

シングルマザー、家を買う/9章(2) ドキドキがとまらない。しかし、これは恋によるものではない。完全に、いくら取られるのかが怖くて起こったドキドキだ。これは救心を飲んでも治る類のものではない。

 そこでラガーマンが口にした額は、購入料金の10%。うちで言えば、120万は必要だというのだ。登記費用や仲介手数料など、一般人にはよくわからないとされる“初期費用”に。

「頭金0で買える」。

 その甘い一言に隠れることが多いこの初期費用。どうだ、かなり高額だ。

 でも、払わなければ家は買えない。そこで、家にある娘と息子の学費として貯めておいた金額を頭の中で計算し始めた。生まれたと同時に出生体重を最初の金額にして、子ども手当てとともに毎月定額を貯めていたのだ。よし、なんとか足りる!

 後日、「ちゃんと返すからね!」というふんわりとした約束とともに全額下ろし、ラガーマンに渡した。これはもう、賭けである。寒くないのに、手がガクガクと震えた。これから先、ちゃんとこのお金を元通りにできるのだろうか。そんなのわからない。

 でも、家が欲しいのだ。家という保障が欲しいのだ。

⇒【後編】「貯金も生活費も0円。明日からどうする!?」に続く http://joshi-spa.jp/200743

<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky
シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

シングルマザーが「かわいそう」って、誰が決めた? 逆境にいるすべての人に読んでもらいたい、笑って泣けて、元気になる自伝的エッセイ。




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