リフォームローンの高い壁。リノベーションは叶わぬ夢?【シングルマザー、家を買う/10章・後編】

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 するとまもなく、4200万で購入したマンションが、購入から5年以内という条件もあり、4900万円で売れたのだ。このときの感動はもう計り知れない。不動産運用ってこんなにすごいんだね! 思わず人目をはばからずガッツポーズを決めた私は、ステータスだけでみなとみらいにマンションを購入“しちゃった”元旦那に心から感謝した。

思わぬ臨時収入の使い道



 とはいえ、この浮いたお金が全部私の元に来るわけではない。利益が出た分に税金がかかるのだ。国よ、よく考えたな……。

 その莫大な税金を払い終え、娘と息子の預金通帳に、初期費用で使用してしまった金額と、今後かかるであろうある程度の学業資金を入金し、手元に残ったのはキッカリ250万円。このお金、どうするべきか。でも悩む暇はない。そう、もう行き先はすでに決まっているのだ。

 いま、流行りのリノベーションに!

【シングルマザー、家を買う/10章・後編】
 現在、古い団地を間取りから作りなおすリノベーションが流行している。外観はただの団地だが、一歩入ると独創的でオシャレな空間が広がるのだ。それも、自分がしたいように作れるという夢のような話。

 これに飛びつかないわけにはいかない。家を購入したものの、リフォーム資金に悩んでいた私は、夢のマイハウスを想像しながらラガーマン(不動産屋)の元を訪れた。

家、お金かかりすぎ! リフォームローンの高い壁



 私「あの、リフォームも御社でできますか?」

 ラガーマン「できますよ。あの家でしたら、だいたいフルリフォームで500万円くらいになります」

 私「はい?」

 ラガーマン「……はい?」

 いや、もうケタが違う。初めて手にした250万円という大金ですら、足元に及ばないじゃん! なんなの、家、お金かかりすぎ! 乱れる呼吸を整え、冷静な声で聞いてみた。

「あの、ローンって組め……」

 まだ言い終わらないうちに、力強い声で「吉田さん」とさえぎられた。こんなに食い気味に名前を呼ばれたことはない。また始まる動悸に戸惑いながら、ラガーマンを見上げると、真っ直ぐに私の目を見て、こう答えた。

「吉田さん、家のローンを親子ローンで組めたこと自体、すごいことなんです。リフォームローンは、はっきり言って難しいかと!」

 だよね~。

 そうか、私はローンを組むのにあんなに大変だったのに、さらにローンを組もうなんてあつかましいにもほどがある。でも、だとしたら、一体どうしたらいいのだろう。

 あのゴミ屋敷にそのまま住むしかないのだろうか。いや、それだけはできない。土壁に囲まれながら暮らすことだけは避けたい。でも、リフォームをするにはお金が足りないのだ。

 もはや考えることをやめようと思うほど悩みぬいたときに、ふとある知り合いの顔が浮かんだ。その知り合いは、毎日保育園で挨拶を交わすママ友さん。たしか、旦那さんが壁紙職人だと言っていたな……。

 このひらめきが、我が家のリフォーム問題を解決することになるとは、まだ知る由もなかった。



<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

※このエッセイは毎週水曜日に配信予定です。

シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

シングルマザーが「かわいそう」って、誰が決めた? 逆境にいるすべての人に読んでもらいたい、笑って泣けて、元気になる自伝的エッセイ。




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