錦織圭のサーブ&リターンをどう応援するか?
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テニスは、バレーボールで言えば、いきなりアタックから試合を始めるようなもの。やはりサーバーが圧倒的に有利なのです。だから自分のサービスゲームは絶対に取る、“キープ”しなければいけません。
一方で、リターナー(サーブを返すほう)がそのゲームを取ることを「ブレイクする」と言います。サーバーは、自分のサービスゲームをキープするために、なるべくファーストサーブを入れて、相手にプレッシャーをかけたいのです。
そうやってサービスゲームをキープしていきます。サービスキープは試合を左右する重要事項です。
例えば、第2ゲームで錦織が相手のサーブをブレイクしたとしましょう。ゲームカウントは、第1ゲーム錦織キープ、次は相手サーブをブレイク、錦織キープ、相手キープ、錦織キープだったとしましょう。錦織は1回相手サーブをブレイクしただけですが、ゲームカウントは4-1です。1セットは6ゲーム先取した方が勝ちですから、錦織はあと2ゲームでセットを取れます。相手選手は1度自分のサーブをブレイクされただけで、大ピンチですね。
サーブはテニスのショットの中でもっともメンタルに左右されます。
相手のショットを返球するのではなく自分で放り上げたボールを打つのに不思議なものです。「セカンドサーブになると攻められるからファーストを入れないと」と思うとファーストが入らないし、「甘いセカンドを打つと攻められる」と思うとダブルフォルトしたり。
相手のサーブが良くて「ブレイクできそうにない」と思うと、逆に自分のサーブは絶対にキープしないといけないというプレッシャーでフォルトしたり。ですからファーストサーブの入りの確率から、選手のメンタルが推し量れたりもするのです。
ですからテニスの試合は、こんなふうに応援しましょう。
錦織選手のファーストサーブが入ったら、小さく「よし」です。ファーストサーブをフォルトしたら、小さく「うっ!」です。ダブルフォルトしてしまったら、メンタルを心配しつつお母さんのような気持ちになって「がんばって」。
錦織選手がサービスゲームをキープしたら、勝つためには当たり前なので「よし!」です。
錦織選手が相手のサービスゲームをブレイクしたら、大きく勝ちに近づきました、派手に「やった!」です。
相手が錦織選手のサービスゲームをブレイクしたら、ピンチです。叫びましょう。「やべえ!」。
ただし、相手がフォルトをしても騒いではいけません。テニスは貴族のスポーツですから、相手のミスを喜んではいけないのです。
USオープンは、ボールのスピードが速いコートなので、ビッグサーバーが有利な大会です。サーブがわかるだけでもかなり観戦が楽しめるでしょう。次回は、「ラリーの時にどっちが優勢なのか見極める方法」をお伝えします。これでテニスの試合がかなりわかるようになりますよ!
<TEXT/和久井香菜子>
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【和久井香菜子(わくい・かなこ)】
ライター・イラストレーター、少女漫画コンシェルジュ。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。街で見かけたおかしな英文から英語を学ぶ「Henglish」主宰。
サーブはもっともメンタルに左右される
錦織の応援の仕方、まず基本はコレ

和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「合同会社ブラインドライターズ」代表