七夕の短冊に娘が書いた衝撃の願い【シングルマザー、家を買う/35章・後編】

⇒【前編】おねしょに悩む娘が見つけた、まさかの解決法【シングルマザー、家を買う/35章】はコチラ

七夕の短冊に衝撃の願い



 数日後、地元のデパートで七夕の短冊を書き、展示するというイベントが行われていた。ふらりと立ち寄った娘はすぐに「ママ! あれっておねがいごとかくんだよね!?」と力強く手を引っ張るので、「そうだよ」と答えると、今までにない速度で短冊に駆け寄り、まだ上手く書けないひらがなを……というか、ミミズ文字を走らせた。

「ママ―! できたよー!!」

 そう元気に、しかも嬉しそうに書き上げた短冊を読もうとすると、……うん、全く読めない。娘に「なんて書いてあるの?」と聞くと、「ハルンケアがほしい!」と大きな声で言ったのだ。

 はっきり、くっきり、ハルンケアと。

 他の子の短冊をみると、プリキュアになりたい、ケーキ屋になりたいなど夢あふれる可愛らしいものばかりである。そこに娘が書いた「ハルンケア」……。

シングルマザー_七夕の短冊 こんなにも、娘がひらがなを書けないことで安堵したことはない。

 そこで娘の夢を壊すのもどうかと思い、「そうだね、ハルンケアはおばあちゃんになったら買ってあげるね」と諭すと、出来るわが娘は可愛らしく「うん!」と返事をしてくれた。ここで「今買って!」と言われずにすんで本当によかった。本当に聞き分けのいい娘である。

娘の新たな恐怖



 その後、なるべく怖い話はせずに、その記憶も呼び起こさないようにテレビも選び、触れないでいると、自然と怖い話は忘れたようだ。まぁ、夜にトイレに行きたくなったときは何時であろうと起こされるようになったが、おねしょをされるよりはマシだろう。

 そんな娘も、現在は小学2年生。今や喜んで怖い話を読み、キャーキャー言っている。

 先日は、「ママ、“むらさきさん”って言葉を20歳まで覚えていると死ぬんだって!」と教えられた。あったなぁ、そんなの。よく考えてみると、というかよく考えなくてもその根拠は全くないし、実在する「紫さん」にはいい迷惑の話である。

 そして今、娘はこの“むらさきさん”を忘れようと、必死に毎晩「むらさきさんを忘れられますように!」と願って寝ている。毎晩そう言葉にして願うことでさらに刷り込まれていくように感じるのは私だけだろうか。

<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

※このエッセイは隔週水曜日に配信予定です。

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