だが、その奴隷生活は想像の域をはるかに越えていた。 「“家計は私がやりくりする”と、通帳やクレジットカードはすべて没収。僕の小遣いは2万円と決められました。生活するのがやっとの金額ですが、言い返すことはできません。一方で、妻はストレスが溜まるからと、ジムやエステに通い始めたんです。 　ただ、ストレスは解消されなかった。精神科でうつ病と診断され、“お前の浮気が原因だ”と、毎晩、狂ったようにわめき散らすようになったんです。初めの頃は謝ったりなだめたりしていたのですが、耐えきれずに自宅から足が遠のくようになりました。今では、数日分の着替えを詰め込んだボストンバッグを抱え、友人宅を転々としています。ただ、日に日に泊めてくれる友人も減ってきていて、少ない小遣いを工面しながら、マン喫で寝ることも多くなってきました」 　とはいえ、泊まり歩いて自宅にまったく帰らないわけもいかない。妻からの呼び出しがあれば、即座に帰宅。心のケアをしなければならないという。 「情緒不安定なので、抗うつ剤を過剰に摂取してしまうことがあるんです。要は、自殺未遂のようなものなのですが、調べてみると、妻の処方薬はどれだけ飲んでも死ぬことはない。かといって帰らなければ、何をされるかわかったものじゃない。“もうツラくなっちゃった”のLINEが合図。一目散に帰宅するようにしています。もう“人生は修行”だと思って毎日過ごしていますね」 　この生活も今年で3年目。友人からは別れるべきとの声もあるが、またFAX攻撃を職場にされるかと不安で、離婚に踏み切れずにいる。もとはといえば、自分が蒔いた種。不倫の代償は計り知れないことを、世の男性には肝に銘じていただきたい。 ― どっちが不幸？ 結婚できない男VS離婚できない男【5】 ―