まず、ゴミのようなもので溢れており、床や畳が見えない。ゴミのようなものと表現したが、全てがゴミにしか見えなかった。しかも、触りたくもないレベルの汚いゴミである。
例えば、割れたグラスや破片、注射器の針、いつの時代のものかわからない液漏れしている缶詰、なんだかネチョネチョしているもの、それに群がるたくさんの虫たち……。
正直、靴下どころか、靴で入るのもためらうくらいの汚さであったが、まず入らないことには、仕事は進まない。ゴミ袋片手に足を踏み入れる私たち。
本来、ゴミの仕分けはお客様にやっていただくのだが、この現場に関しては特例で、明らかにゴミと判断できるものは、ゴミ袋にどんどん入れていき、判断できないものだけお客様に確認をとって箱詰めしていった。
私の担当したのは寝室だったが、ここで本当に寝られるのか? 家の外でダンボールにくるまって寝た方がまだ綺麗なのではないかというくらいの惨状だった。
まず、ベッドが腐っていて、不安定。
シロアリにまみれ、腐ったベッド……当然捨てるのだろうと思って、念のためお客さんに確認すると、まだ寝られるから持っていくという。
小さくて黒い虫がびっしりついた布団も持っていくというし、布団の中からなぜか出てきた得体の知れない物質が入った鍋も、持っていくという。まさか本当に? と聞くわけにもいかないので、指示どおり梱包していく私たち。