“隠れ借金”で昼食は200円弁当…共働き夫婦の“別財布”はアブナい
一見、十分な年収のように思える800万円という数字だが、実際に都心部で暮らす家庭では綱渡りのような生活を強いられていることも多い。その姿を追った――。
「妻に内緒で借りたのがそもそもの間違いでした」と嘆くのは、中野区在住の会社員・中村祥吾さん(仮名・37歳)だ。1000万円近い世帯年収がありながら、彼はこの数年間、借金の返済に追われる日々を送っている。
もともと独身時代から浪費癖があり、交際費が足りなくなるとちょこちょこ消費者金融から借金していたんです。『今度、ボーナスで返そう』とキャバクラ代や飲み代などに数万円ずつ借りていたら、気づけば年収600万円の自分には簡単に返せない額になっていて」
最高時の額は実に350万円。さすがに妻にもバレそうだが……。
「ウチの夫婦は完全に別財布なので、生活費は主に僕が負担していますが、お互いの給料額や貯金額を正確に知らないんです。だから借金の存在も隠せています」
だが、裏を返せば不明瞭会計が借金に拍車をかけたとも言える。また、中村さん自身は「自分は余裕がなくても妻はマジメに貯めているだろう」と思っていたようだが、実際になにげなく妻に貯金額を聞いてみると「あまりの少なさに愕然とした」という。
「まだ子供も小さいのに『このままだと将来、本当にヤバいことになる』と焦りました。でも、返済もあるので、できるのはわずかな節約くらい。まずはお昼代。会社近くのスーパーで売っている500円の弁当が、夕方16時頃になるとタイムセールで200円になるので夕方まで昼食は我慢しています。同僚が見かねてお昼を奢ってくれたこともありました。
また、飲み会などで終電を逃してもタクシーなんて使えないので、深夜に2~3時間かけて歩いて帰ることも。体力的にもツラいですけど、仕方ないですね……」
そんな涙ぐましい節約の努力がありつつも、借金の存在を知らない妻から最近「そろそろ家が欲しい」という催促があるとか。
「結婚以来ちゃんと貯めていれば1000万円以上あってもおかしくないですからね。いつバレるのかと、毎日ビクビクしています」
共働きで”別財布”の夫婦は、家計全体の貯金・借金を誰も把握していないことが意外と多い。気づけば”2人とも貯めてなかった!”という事態に…。おたくのダンナさんは大丈夫?
◆世帯年収 950万円
(夫:550万円 妻:400万円)
夫妻の平均手取り月収 55万円
住宅費 15万円
食費 5万円
光熱費 3万円
通信費 2万円
養育費 3万円
親への仕送り 5万円
贅沢費 15万円
その他(借金返済) 4万円
月の収支+3万円
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