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ヒトラーが現代にタイムスリップ!?超問題作のヒトラー役俳優を直撃!

ヒトラーだけでなく、選んだ国民もモンスター

――街でのインタビューで右寄りの人々が多かったことも衝撃でした。ヒトラーには自然に心の奥底を話してしまうのでしょうか。 マスッチ:ドイツの知識層は、戦後何年も経って、右寄りな発言をする人はドイツにはいないと言ってるんです。でも実際に私たちがああした調査をしたら、いるわけですよ。私たちはカメラを持っているし、なかなか右寄りの発言を聞き出すのは難しいだろうと思っていたのに、驚きましたね。心の中では外国人を敵視したり、外国人が増えることに不安を覚えている人がいるわけです。これはドイツだけでなく、世界中に見られる傾向ですよね。アメリカのトランプとか、ヨーロッパでも右寄りのプロパガンダで先導するような政治家が出ています。  ただ重要なのは、当時、ヒトラーを選んだのは国民だということ。当時のドイツは第一次大戦で敗戦して、戦時賠償などで国が疲弊してコンプレックスを持っていた。そうした背景のもとでヒトラーを選んでしまった。モンスターはヒトラーもですが、選んだ国民もそうなのです。
『帰ってきたヒトラー』より_2

『帰ってきたヒトラー』より

――本作はフィクション部分と、街頭インタビューなどのドキュメンタリー部分が混在しています。アドリブの部分でも常にヒトラーである必要があったわけですから、かなり大変だったのでは? マスッチ:もちろんとても時間をかけて準備しました。最初のうちは問答集みたいなものを作っていて、いくつかパターンを考えていましたしね。原作小説の中に出てくるヒトラーの言葉も頭に叩き込みました。撮影に入る前には、こんなこともやりました。私は自分をヒトラーと思いこんでいて、制服を着てベルリン中を歩き回っている精神病患者という設定。そこにふたりのカウンセラーが来て、2時間半ずつ、合計5時間のカウンセリングを受けたんです。その間、私はずっとヒトラーを演じ続けたわけです。
『帰ってきたヒトラー』より_3

『帰ってきたヒトラー』より

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民主主義がいかに脆いものか知った
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