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炎上しても言う。リオ閉会式の東京PR動画で“女子高生”を出すキモさ【勝部元気】

制服JKが性的アイコンになっている問題

 一方で、確かに最近のアイドルも制服をモチーフにした衣装を着ているグループも多いですし、アニメでも制服姿の女子高校生の登場が異様に多いように、制服がクールジャパンのアイコンとして認知されているという側面もあるかと言えます。  ですが、アイコン化は負の側面と無縁でありません。たとえば痴漢が「Chikan」で通じるほど発生率が世界的にも異様に高く、制服を着ているとさらに被害に遭いやすいと感じた人も多いのではないでしょうか? 実際にそういう声を本当によく聞きますし、被害件数も10代が圧倒的多数です。  また、「JK、制服、渋谷」でGoogle検索すれば、日本ではそれらのアイコンがどのように捉えられているか、一目瞭然と言えます。JKリフレのサイトがズラリと並ぶのです(JKリフレ=制服姿で個室マッサージや添い寝などのサービスを行う)。  実際に、昔は援助交際やブルセラで、近年はJKビジネスと、制服が性的アイコンとして消費され、国連からも未成年女子の買春・人身売買が盛んな国として認定を受けるような状態です。

勝部氏

 正直に申し上げれば、私も今よりもずっとずっと若い時には制服姿に性的な意味を感じていた時期もあったと思います。でも、大人になった今、「制服=子供が着ているもの」というイメージしか無いですし、それを性的に消費したい気持ちもまるで分からないですし、制服に固執する日本社会が異様に見えて仕方ありません。  また、炎上コメントの中には私が制服を性的に見ていると誤解した人や、「制服そのものが性的アイコンである」という主張だと誤解した人もかなり多かったのですが、制服自体は一切関係無く、制服を性的なアイコンとして捉える人が日本には多いという男性社会的な面を指摘したに過ぎません。問題は客体ではなく主体です。school girlの制服自体は海外にもありますからね。  そのように、国連等の海外の一部からは「日本は制服姿の女子高校生を性的に搾取している国である」と見られる中で、制服姿の女子高校生を五輪のプレゼンムービーで使うということは、その実情を知っている人が見れば、「あぁまさに(悪い意味で)日本っぽいですねぇ」と思ってしまうのも当然ではないかと思うのです。

女性たちにも問題意識を持ってほしい

 当の女性本人たちも日本の中にいるとあまりに空気のようにありふれているために、制服姿の女子高校生が起用されることの何が問題なのか気が付きにくいことも多いかもしれませんが、高校生の時に自分が性的なアイコンとして見られることに様々な葛藤を感じたことがある人も多いのではないでしょうか?  もちろん今でも日常生活の中で様々な「エイジズム(若さ至上主義)」に対して嫌な思いをしている人も多いと思いますが、エイジズムも制服姿の女子高校生をクリーンと感じる純潔主義や処女崇拝と表裏一体のものです。日本は欧米と反対で加齢するほど幸福感が下がると言われていますが、こういう面も大きく影響しているのでしょう。  POLAのテレビCMが「この国は、女性にとって発展途上国だ」というメッセージを出して多くの共感を呼んでいますが、私たちがもっと生きやすい社会にするためには、やはり制服姿の女子高校生を多用する社会というのも改善する必要があると思うのです。 「何でもかんでもすぐ制服姿の女子高校生を起用しようとするおじさんの性癖はキモイですー!」と、もっともっとみんなで声にしていきたいものですね。 <TEXT/勝部元気> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【勝部元気】 1983年東京都生まれ。コラムニスト・社会起業家。専門はジェンダー論、現代社会論、コミュニケーション論、教育論等。他にも所持資格数は66個にのぼる(2015年6月現在)。働く女性の健康管理を支援するコンサルティング会社(株式会社リプロエージェント)の代表取締役CEO。ブログ『勝部元気のラブフェミ論』(http://ameblo.jp/ktb-genki/)、twitterは@KTB_genki。初の著書『恋愛氷河期』が発売中
勝部元気
1983年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒。コラムニスト・社会起業家。専門はジェンダー論、現代社会論、コミュニケーション論、教育論等。他にも幅広い知識習得に努めており、所持資格数は66個にのぼる(2015年6月現在)。雑誌・TV・web等でコメンテーター活動をしている他、働く女性の健康管理を支援するコンサルティング会社(株式会社リプロエージェント)の代表取締役CEOを務めるなど、各種ソーシャルビジネスに携わっている。ブログは、男性なのに子宮頸がん予防ワクチンを打ったレポートが話題となった。twitterは@KTB_genki 。初の著書『恋愛氷河期』(小社刊)は発売中
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恋愛氷河期

著者は、ナンパ禁止論や反・不倫論で話題を呼んでいるコラムニスト。男性から、かつ若手からの立場で、女性に厳しい社会に真っ向からダメ出しをする。

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