良識ある人達も、本人を追い込んでいる可能性もあると思います。
――今回の件では、尾木ママこと尾木直樹氏が「成宮君は個人的なセクシャルティ問題をアウティングされ絶望している」と題したブログを投稿するなど、良識があると言われている人たちが、“成宮さんはアウティングされた”とメディアを非難していますが、それもカン違いだということでしょうか。
尾木直樹(尾木ママ)オフィシャルブログ http://ameblo.jp/oginaoki/
榎本「成宮さんの件に関し、メディアのあり方に対して良識ある人たちが非難しているのはその通りだと思います。でも、その人たちが『彼のセクシャリティを暴露するなんて!』と、メディアはアウティングをしているという文脈で非難するのは、書いてあることが事実であるかのように受け取っていることにもなるので、彼に同情的であっても、結果としてマスコミと同じように本人を追い込んでいる可能性もあると思います。
職場に置き換えて考えてみるとわかりやすいかもしれません。『あの人、ゲイらしいよ』という噂が流れてきたとします。それを聞いて、『ゲイなんて引くよね~』って否定するのでも『ゲイなんだってー! カッコイイよね』と好意的に他の人に話したとしても、噂という根拠のない話をもとにして、おしゃべりのネタにしてる点では同じです。不確かなことについて、好き勝手に言ったり、広めたりしないほうがいいですよね。
今回は職場などで起きうるそういった噂の規模が大きくなったのだと思っています。擁護しようと思って発言している人たちも、根拠のない噂話の域を出ていないのではないでしょうか。」
FRIDAY 2016年12月16日号 講談社
――今回の報道の主軸としてA氏の話を書かなければならなかったというのが「FRIDAY」側にはあったと思うんですね。というのは、「(成宮氏は)クスリが効いてくると目がトロンとしてきて、やたらとカラダをすり寄せてきた」(12月2日発売「FRIDAY」より)という友人の証言は、あの報道では必要だったでしょうから。でも世間には、クスリのことに関してだけ書けばよくて、セクシャリティに関しては不要な情報だ、という意見も多くでています。その点についてはどうですか。
榎本「私も同じく、マスコミはクスリについてだけ報じ、セクシャリティについては触れるべきでなかったという意見ですね。クスリの件とセクシャリティの件は、内容の質が違います。クスリは事件性があるものなので、報道されるのはまだわかります。そうはいっても事務所側は事実無根と否定されているので、そもそもの報道の正当性についての問題もあると思いますが。
ただ、薬物+『ゲイらしい』となったとき、後半の『ゲイらしい』という部分がネタになってしまっていますよね。様々なメディアがネタにすることで、日本において“ゲイである”ということが、スクープに値するスキャンダルであり悪いことだというネガティブな印象を作るのに一役買ってしまっていると思います。」