おおた「そして最後にあげるコツは、甘えさせる、ということです。これは精神的にも肉体的にもです。
女性はストレスがたまると、ママ友とおしゃべりしたりして発散するのが上手です。でも男は、そういうコミュニケーションが苦手で、煮詰まると逃げ場がなくなってしまうんです」

――たしかにパパ友とか、パパの集まりが活発に行われているイメージはありません。
おおた「そう。『パパ会』とかいってイクメン同士集まっても、先輩と後輩のような縦の序列ができあがってしまう。男は横の関係づくりが苦手なんです。
ですから、夫は妻が味方じゃなくなった瞬間に孤立してしまうのです。だれにも相談できないしグチれない。ゼロから自分で模索するしかなくなってしまうのです」
――たしかに、それはつらいですね。
おおた「ですので夫が孤立しないためにも、時には夫のグチを聞いてあげたり、ゆっくりスキンシップをとったりして、精神的にも肉体的にも夫を甘やかしてあげてほしいです」
――スキンシップ! これは、なかなかハードルが高いです。
おおた「ちょっとしたことでいいんです。例えば料理している妻の横を通るときに、夫が妻の肩をちょっと触ったり、冷蔵庫のものをとりにいくときに夫に軽く触れてみたり」
――え~(笑)。
おおた「いやいや、本当に。はじめは『またまた~』なんて笑っちゃいますけど、これが意外に大事なんです。触れることで『あなたのことを認知していますよ』というメッセージになりますからね。
そして、僕に相談してきたパパたちにいつも言うのは、『奥さんをゼロから口説くくらいのつもりで、焦らないこと』と」
――ゼロから!
おおた「付き合い始めた頃は、たとえばデートで映画に行って、いつ手を握るか…とドキドキしたもんでしょ? だったら、夫婦でたまにはDVDでも見て、ドキドキしながら手を握るところからやり直したほうがいい、と」

――それをされたら確かにうれしいかも。
おおた「できることから少しずつ、スキンシップも増やしていく。相手を自然に受け入れられるようになることが大切です」
――明日から少しずつ始めてみます。脱パワハラ嫁ですね…。
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育児を頑張れば頑張るほど追い詰められていく夫婦たち。追い詰められる原因は育児の難しさだけではないと知りました。子供にとっての親である前に、夫婦として機能をしているのか…そこから見直す必要があるともいえます。
【おおたとしまさ氏プロフィール】
1973年生まれ。現在14歳、11歳の2児の父。育児・教育ジャーナリスト、心理カウンセラーとして活動。著書は『
ルポ父親たちの葛藤 仕事と家庭の両立は夢なのか』『
なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』など多数
<TEXT/瀧戸詠未>