風俗嬢46歳。稼いでも稼いでもホストと酒に消えてゆくお金…
長い間、私が風俗で働く中で、周りを見ていて感じるのは、彼女達はなぜかお金をぞんざいに扱う傾向があることです。
身を粉にして、心を削って稼いだお金。なのに、貯金をしているという風俗嬢は稀(まれ)なのです。そのお給料は一体どこ行ってしまうのでしょうか。
風俗店の店長が、ひどく散財して貧困状況にある、一人の風俗嬢のケースを話してくれました。
デリヘル店勤務のみどりさん(仮名)は46歳。一度も結婚をしていないはずなのに、「子どもに会いたい」「子どもを引き取りたい」と、自分で虚構話を作りあげてお客さんの前で泣き真似をするらしいのです。
「だからお金が必要で」と付け足し、お客さんにプレイ時間を延長してもらいます。
そんな嘘の話しを鵜呑みにするお客さんがいるのかしら? とあたしは首をかしげましたが、店長はこう言いました。
「みどりはアル中なんだよ。酒好きなお客のところにいけば一緒に飲むだろ。お客もかなり酔っているから気も大きくなるんだ」
なるほど、と思いました。46歳にしては綺麗で、酒のせいもあってかお客さんの受けはかなりいいと店長はいいます。
しかし、常連さんも何人かいるのにいつもカツンカツンの生活をし、「お金がない」「お金がない」というのが口癖なのだそうです。

みどりさんは6畳一間の寮に住んでいます。その部屋には缶ビール・缶チューハイ・紙パックの日本酒・ワインの瓶などが、ゴロゴロと転がっていて、朝から寝るまで浴びるほどお酒を飲んでいます。
朝からお酒を飲む日は、夜になると必ずタクシーを走らせホストクラブに行き、お金を散財してくるのです。
風俗嬢だとお店で吹聴しているため、カモになってしまっていて、帰る頃には財布の中はすっからかん。お金を稼げば稼いだ分使ってしまうので、気がつけば、いつもお金がないわけです。
食うにも困り、寮の隣にあるドラックストアの見切り品を買って食べています。1袋78円に値引きされた食パンを2袋買い、3日乗り切ったと聞きました。それも尽きたら、また出勤をします。
しかしながらどこも不況で、風俗でもあまり稼げないのが現状です。そんな中、みどりさんは有り金すべてを握りしめてお酒を買いに行きます。稼いだらお酒と男。それではいつまでたってもお金が貯まることなどありません。
「負のスパイラル」
店長はそう言っていました。46歳、決して若くなく、お金も家も男もいない。同じ女として、あたしはみどりさんの、この先が不安でなりません。
―お金がない…女の生活苦シリーズ vol.3―
<TEXT/藤村綾>
【藤村綾】あらゆるタイプの風俗で働き、現在もデリヘル嬢として日々人間観察中。各媒体に記事を寄稿。『俺の旅』(ミリオン出版)に「ピンクの小部屋」連載、「ヌキなび東海」に連載中。

「また、みどりがお金を貸してって言ってきたんだよ」

稼いだお金は全て、お酒とホストにつぎ込む
