Beauty

何を着るか悩み、服を買いまくる「おしゃれ病」の危ない兆候

●連載「ファッション誌が答えてくれない相談」50 by小林直子●

Q.「おしゃれ」を目指すことに疲れました…

女性にとって「おしゃれ」であることはどれくらい大事なのでしょうか? 私は装うおしゃれに疲れています。

A.「おしゃれ病」にかかってはいけません

 すべての女性がおしゃれであるべきだと、私は考えていません。10代のころからファッション誌を読んで、ファッションの専門学校へ行って、アパレル業界で仕事をして、ずっと考えてきて、その結果、そのように考えます。もちろんこれは私の考えなので、そうではない、女たるものおしゃれでなければいけないと考える人もいると思いますし、それはそれで構いません。 おしゃれ病 構いませんが、注意しなければならないことがあります。それは私が「おしゃれ病」と呼ぶ病いについてです。  おしゃれでなければいけないと考えるあまり、このおしゃれ病を発症している方が多くいらっしゃいます。おしゃれ病にかかると、服を買う、服を着る、服を維持管理するという行為が楽しみではなく、苦しみに変わります

いくら買っても満足できない、毎日着る服に悩む…

 服を買いすぎて買い物依存症になり、買っても買っても満足できない方がいらっしゃいます。依存状態になると、そこから脱することが難しく、だんだん経済が圧迫されていきます。そうなると、服を買うという行為は楽しみではなく苦しみに変わります。 買い物依存 何をどうやって着たらいいかわからない場合は、毎日それで悩むことになり、出かけるのがゆううつになったり、余計な時間がかかったりします。また、たくさん買いすぎて、膨大な量の服の前で途方に暮れる方もいらっしゃいます。  ひとりの人間が管理し、コントロールできる物理的な量は限られています。どんなにたくさん持っていても、それをすべて把握し、例えば1か月間、毎日違う組み合わせを考えて服を着るということは、ごく普通の能力の人には不可能です。ですから、その限度を超えた量の服を持っていると、それを維持するのは大変困難になり、それが新たな悩みと苦しみになります。

おしゃれじゃなくたって別にいい

 例えば食べ物の場合、食べすぎたり、栄養が偏ったりすると、太ったり、病気になったりします。服を着るという行為に関しては、肉体的に病気になるということは、かぶれる、かゆくなるなどを除いてはほとんどありませんが、その人の精神にダメージを与え、日々、その人から活力を奪うということはあるのです。  私はすべての人がおしゃれである必要はないと考えていますので、例えば街で私が考えるおしゃれではない人を見たとしても、なんとも思いません。そもそもそういう目で他人を見てはいません。  ファッション学校の学生たちもみんなそうでしたが、ファッションを勉強している人たちは、おしゃれな人を目ざとく見つけたりはしますが、興味のない人をわざわざ見つけて、あの人はおしゃれじゃないからどうだこうだということは言いません。  学生時代も働いていた時代も含めて、ファッションに関係する人が、誰かのことを「おしゃれじゃない」「ダサい」と言うのを聞いたことがありません。それは彼らが、おしゃれとは自分たちの趣味にすぎず、それを他人に押し付けてはいけないし、すべての人が好きなものを着る自由があるということを重々承知しているからです。
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ダサいと言いたい人には言わせておきましょう
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