紅白歌合戦や長~い音楽特番が、音楽をつまらなくする
もうじき11月、今年も残すところわずかになりました。そろそろ紅白歌合戦をはじめ、年末の音楽番組が気になってきますね。
でもうがった見方をすれば、1時間サイズのプログラムがなくなるかわりに、こうした長時間特番にぎゅうぎゅうに詰め込まれているのが現状だとも言える。紅白は注目度が高いからよいようなものの、夏に各局でやる10時間のやつなんてダレちゃってしょうがないのに。
とはいえ、総花的なショーケースがなくなれば、とうとうプロモーションの場がなくなってしまい、おまんまの食い上げになってしまう。だから質はともかく、せめて改編期に形だけでも放送が必要なのだと思っていたわけです。
しかし、いまはむしろ逆なのではないかと考えています。つまり、“音楽番組”と限定してしまうことのデメリットのほうが大きいような気がしているのですね。
まず、4時間とか5時間ものあいだ音楽しか扱わない時点で、そこまで好きでない視聴者なら“じゃあいいわ”とパスしてしまうでしょう。
お目当てのアーティストが出演するまではBGM的に流しているからいいという声もありますが、カラオケと大差ない薄っぺらなサウンドを延々と聞かされるのは逆に耳障りでしかなく、かえって邪魔になるだけ。
それでも成立させたいのであれば、英BBCの『Later… with Jools Holland』か、米PBSの『Austin CIty Limits』ぐらいの水準が求められるのでしょうが、現状のシーンでは土台無理な話。
いま一番まともな演奏とサウンドを楽しめる番組が、堺正章のトーク番組『堺でございます』(BSフジ)なのですから危機的です。
というわけで逆の発想をしたらどうでしょう? 音楽番組などはこの際なくしてしまって、むしろアーティストの側から他ジャンルに出張していくほうが有効なのではないでしょうか。
たとえば、アメリカの人気番組『The Late Late Show with James Corden』では、マライア・キャリーやエルトン・ジョンなどの超大物がドライブしながら大声でカラオケを歌っています。彼らほどのセレブですら、ここまでフットワークを軽くしなければ世の中から音楽が切り離されてしまうという危機感があるのでしょう。
エルトンは、ロンドンの駅構内で即興演奏を披露したこともありました。
正当なギャランティーが発生し、納得いく環境で活動する場を保つため、時には無償で芸を広めるのも大事という考え方ですね。
先日も小沢健二に紅白出場の内定が出たとか、安室奈美恵や桑田佳祐は無理かも、とかいったニュースがありました。音楽番組自体は減っているそうですが、まだ話題に上がるだけマシなんでしょうか。
音楽番組が減った代わりに、長時間の特番に
音楽番組に音楽を閉じ込めない
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