「らしさ」についての、印象深い動画があります。“Like a Girl(女の子のように)”という、P&Gの生理用品「Always」のキャンペーン動画です。
いまも続いているキャンペーンで、特に2014年の動画は世界的な話題になりました(再生回数は現在6470万回、広告賞の最高峰・カンヌライオンズ2015を受賞)。
「Like a Girl(女の子のように)!」。ディレクターが男も女もいる大人の外国人グループに、まず「走って!」と声をかけます。グループのみんなは、男も女も内股でナヨナヨと走ります。次は「ボールを投げて!」。みんな肩を回さない力の抜けた投げ方で山なりのボールを放ります。
次は5歳くらいの女の子たちに声をかけます。「Like a Girl!」。女の子たちは手足を振って懸命に走り、オーバースローで力強くシャドウピッチングをしたのです。Excellent ! すばらしいことです。
そうした後に、出演者たちのインタビュー。異口同音に語るのは、「幼い時は自分と“女の子”が一致していた。それが思春期あたりを境として『女の子らしく』という意識が植え付けられて、変わってきた自分を感じる」と。
「女の子のように走って!」と言われると、ナヨナヨと内股で…(Like a Girl動画より)
「A girl」が「Like a Girl」に変わる。ある日、全力を出すのをためらわせる時が来るのです。できないふりをする。周囲から期待される「らしさ」にとらわれて、かよわく全力を出しきれない演技をするようになります。人に嘘をつくのではなく、自分に嘘をついてしまう。
このビデオを見て、私はただボロボロと涙が流れて収拾に困りました。自分自身と同性たちへの憐憫というか、表現しきれない感情に襲われたのです。