しかしここにもまた問題があります。このヘリテージチェックを見て、私の知人の20代女子がぽつりと「寅さんみたい」と言いました。

寅さんシリーズ「男はつらいよ 柴又慕情」
そう言われて、寅さんの画像をチェックしてみると、確かに寅さんは明るい茶をベースにした、少し黄色い感じのヘリテージチェックでできたスーツを着ています。「寅さん」という日本のおじさんを象徴するような人物のようだと言われて嬉しいと思う女性はほぼいないでしょう。嬉しいとしたら、それはマニアックな寅さんファンです。
寅さんみたいと思われたら、それは、おじさんみたいということです。つまり、おしゃれ圏外だということになります。

英国調のチェックが格好いい シャーロック・ホームズシリーズ『バスカヴィル家の犬』(原題:The Hound of the Baskervilles )
仮にそれが「シャーロックホームズみたい」ならまだよいのです。シャーロックホームズはガンクラブチェックのコートと帽子を着ています。「シャーロックホームズみたい」というのは、英国調で格好いいね、という意味ですから、許容範囲ですし、むしろいいかもしれません。
けれどもやはり寅さんは日本のおじさんなので、そのようには思われません。「おじさんみたい」と言われて受けた傷は、おしゃれにとって致命傷です。生き返ることはできません。
茶系を避けて、黒・グレーを選べば「寅さん」にならない

黒やグレーのグレンチェックを選ぼう ※画像:WEAR
ですから選ぶときには、くれぐれも「寅さん」にならないように注意が必要です。
少し黄色がかった茶系のチェックは特に気をつけないといけません。まさか腹巻きをコーディネートする方はいないと思いますが、黄土色のチノパンツなどと合わせるとたいそう危険です。
危険を冒したくなかったら、あえて
茶系を選ばないで、シックな黒やグレーのグレンチェックにしておきましょう。そうすれば、「寅さんみたい」と思う人はいないでしょう。
<TEXT/小林直子>
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【小林直子】
ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『
誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。新刊『
わたし史上最高のおしゃれになる!』は発売即重版に