そしてクライマックスを飾るのが豪華な披露宴。見た目もボリューミィな引き出物を、出席者が「重い、重い」と言いながら持ち帰ります。この時点で、うんざりしていた佐々木さんですが、なんとおじいちゃんが「
すでにほとんどの段取りを済ませてしまった」と言い放ったのです。
「おじいちゃんは『俺が結婚式の費用の半分以上を負担する!』と言い出し、両親や親戚たちも『おじいちゃんの願いを叶えてやって……!』と、懇願してきたのです。もともとド派手婚が大嫌いだった私はもちろん反発しました」
でも、婚約相手の煮え切らない態度もあって、親戚からのプレッシャーは日増しに強くなるいっぽう。そのうち佐々木さんは「
結婚式そのものがトラウマ」になりそうなほど追い詰められてしまったのです。
そんな佐々木さんに幸運がやってきます。婚約者の海外赴任の話が正式に決定したのです。
「以前から彼が希望していたことですが、思わず胸をなでおろしました。挙式は赴任先の海外で、お互いの両親と兄弟だけで行いました。もっとも結婚式に熱心だったはずのおじいちゃんは腰を痛めて、飛行機にも乗れなかったので、カワイソウでしたけど福井でお留守番してもらいました」
今でも
本家の力を見せつけたい祖父は、分家のアラサー従妹にド派手婚を持ちかけているそうです。
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クリスマス・年末年始の忘れたい記憶 vol.15―
<TEXT/夏目かをる イラスト/ただりえこ>