
「その社長が、周囲にデタラメな暴言を吐いていたんです。『あの女とエッチしたけど、アソコがガバガバだから捨てた』って……ひどい、ひどすぎます。私が出演する番組のクライアントにも知られてしまったため、ディレクターに説明して、誤解を解いてほしいとお願いしましたが、時すでに遅し。番組を降板させられました」
広告関係の友人に相談すると、セクハラオヤジの素性がだんだんわかってきました。
「父親は大手広告代理店の幹部。親の縁故で大手新聞社の営業部に一度は就職したものの、サラリーマンが嫌でクリエイティブな仕事がしたいということで小さな企画制作会社を設立したそうです。私と同じようなセクハラ被害を受けた女性がいるとわかったので、共通の友人を通じて、連絡をとってみました」
社長から逃げた女性たちは、米山さんと同じく、被害者なのに不名誉な噂を流されたおかげで後ろ指を差され、うつ状態になったり、心療内科に通ったりと、ひどい目に遭っていたそうです。

「30歳と、34歳の被害者の女性と私の3人で被害者の会を結成しました。知人弁護士を通じて、提訴すると内容証明を送ったところ、社長が逆上して、嵐のような電話コール。でも私たち全員は無視しました。
すると、これ以上、大ごとにしないのが得策と思ったのか、示談をもちかけられたんです」
示談金は一人につき、100万円だったそうです。
―
私達の身近な「セクハラ」 vol.23―
<TEXT/夏目かをる イラスト/鈴木詩子>