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泥沼恋愛も依存症!? リスクが快感に変わるとき|斉藤章佳×中村うさぎ

自殺か(性)暴力か。男性はいずれかを選択する

斉藤:これは強姦した人たちと拘置所で面会繰り返してて気づいたことなんです。強姦は性犯罪の中でも一番重い罪です。そんな彼らの行動化する時の心理状態をヒアリングしていくと、「自暴自棄」という共通したキーワードがあったんです。仕事やプライベートで極限まで追い詰められた時、自死(自殺)か(性)暴力のいずれかを選択する。つまり、死ぬくらいだったら最後に強姦してやろう、そういう思考パターンです。自分よりも弱い存在を傷つけることで心のバランスを保つ。 実はこの傾向、性犯罪者に限らず、男性一般にもあてはまると思うんです。自分も極限まで追い詰められたら、もしかしたら自死か暴力を選択するかもしれない。そう感じた時に、彼らと自分は、実は本質的にそんなに変わらないと思ったんです。私の場合、仕事や仲間、家族など大切な繋がりがあるから踏みとどまっているだけで、それらを失ったうえで極限まで追い詰められたら、「もういいや」と自暴自棄になってしまう可能性は十分にあるな、と。 中村:だからといって、強姦される方はたまったもんじゃないですけどね。でも、死ぬか生きるかみたいなところで、じゃあもうどうせ死ぬんだったらこれやってやろうみたいな気持ちがあるのは分かる気がします。 あと、自暴自棄に関しては私も身に覚えがある。買い物する時、これ買ったらホントにヤバい!と思って止めようと思うけどついに自分の欲望に負けて「これください」って言った時、素っ裸で草原に大の字になって寝転んでる感じがしましたもん。 斉藤:草原(笑)! 中村:そう、開放感みたいなもの。私を抑圧したり、コントロールしたりする何か、目に見えない圧力からの解放。社会や、私の中にある倫理観、真っ当に生きていかなきゃっていう親の影響とかさ、そういうものを自分に対して期待している私自身の圧力を、バカヤロー!って跳ねのける感覚があるんですよ。 この時の開放感が快感に繋がってると思うんだけど、性犯罪の人もどうにでもなれって思った瞬間に何かがパチっと壊れて鍵が開く、みたいなところがあるんじゃないかってお話を聞いてて思いました。 ※第3回に続く。 【斉藤章佳 プロフィール】 1979年生まれ。精神保健福祉士・社会福祉士/大森榎本クリニック精神保健福祉部長。大学卒業後、アジア最大規模といわれる依存症施設である榎本クリニックにて、アルコール依存症を中心に薬物・ギャンブル・性犯罪・クレプトマニアなどさまざまなアディクション問題に携わる。2016年から現職。専門は加害者臨床。著書に『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)など。 【中村うさぎ プロフィール】 1958年福岡県生まれ。同志社大学文学部英文科卒。OL、コピーライターを経て、作家デビュー。その後、壮絶な買い物依存症の日々を赤裸々に描いた週刊誌の連載コラム「ショッピングの女王」が話題となり、『女という病』『私という病』などエッセイ、小説、ルポルタージュに著書多数。近著は『他者という病』(文庫版)、『エッチなお仕事なぜいけないの?』。 <TEXT/女子SPA!編集部> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
女子SPA!編集部
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