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山形銘菓「のし梅」実は“のされて”いなかった!/カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」

カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」Vol.22 山形県「のし梅」】

山形県のし梅 今回テーマ食材は「のし梅」だ。

 私事になるが、私は自分の漫画にのし梅を描きがちだ。
 私の漫画は総じて絵が適当で、背景が寂しい時、縦線を二本引いて「何かの壁」「何かの家具」としてしまうことが多い。

 してしまう、のは私の脳内だけで、おそらく読者は「謎の縦線」としか思ってないだろうが、私の中では背景なのだ。

 そういう、謎の縦線や横線を引くと、薄っぺらい板状の何かが出来上がることがある。私はそれについ「のし梅」と文字を描きたくなってしまうのだ。最近では描くのを我慢している。

 ちなみに本物の、のし梅は見たことも食ったこともない。ただ私の中に「薄っぺらい板状の物=のし梅」という強烈なイメージがあるのは確かである。

のし梅

楽天販売ページより https://item.rakuten.co.jp/39network/10000091/

 その「のし梅」が突然送られてきたため、後ろから本物に出てこられたものまねタレントのような気持ちになった。「いつも勝手に描いてすみません」という感じだ。

 あれだけ漫画に描きたくなるのだから、私はのし梅さんにどこかで会ったことがあるのかもしれない、と思ったが、送られてきたのし梅を見て「やっぱり初対面だ」と思った。

のし梅は本当に梅が良い



「のし梅」とは、すり潰した梅を寒天に練りこみ、薄くのして乾燥させた、山形県村山地方の代表的な銘菓である。

乃し梅本舗佐藤屋

乃し梅本舗佐藤屋ブログより http://satoya-matsubei.com/blog/2013/07/01/

 竹皮に挟まれており、それをはがすと、竹の模様がついた美しい琥珀色(こはくいろ)ののし梅が出てくる。あまり漫画の背景には向かない姿だ。

「何故か漫画に描き続けたのし梅に会えた」その感動が先に立ち、味は正直二の次だったのだが、こののし梅、梅がすごくいいのだ。

「頭痛が痛い」みたいな、間抜けな日本語になってしまったが、のし梅は本当に梅が良いのである。

 今まで個人的に「梅味」がそんなに好きではなかった。ストロングゼロでさえ梅味はあんまり買わない。

 だがこの、のし梅の梅の味は「梅がうめえ」と、無意識にクソ駄洒落を言って焦るぐらい美味い。

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なんと、のし梅はのされてない

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