長野にはそっくりの菓子が2つ。パクリなのか?/カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」
【カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」Vol.23 長野県「サラバンド(と雷鳥の里)」】
今回のテーマ食品は、類似菓子2品である。
前にも、萩の月とその愉快な仲間たちを紹介した。
萩の月にとっては全然愉快じゃないし仲間とも思ってないとは思うが、人間が「口に入れても死なないもの」という縛りで作れば、偶然似たものが出来てしまうのも仕方ないのかもしれない。
だが世の中には、どう見ても他人とは思えない似方をしている奴がいる。今回はそんな菓子、二品である。
まず一品目は「サラバンド」だ。これは見た瞬間「ブルボンっぽい」と思った。
菓子を菓子で例えるというのは、サバに「エラがあるところがサンマに似ている」というぐらい頭が悪いが、そう思ってしまったのだから仕方がない。
一言で言うと「レトロエレガント」なパッケージ。派手さはないが上品で、良い意味で古い。サラバンド自体は初見でも「懐かしい」と言ってしまいそうな佇(たたず)まいである。
「サラバンド」がどういうものかというと、小麦粉、卵、砂糖を練って薄く焼いたものに、クリームを二層に渡って挟み込んだ菓子のことである。
つまり「絶対うまいやつ」だ。
実際、香ばしい焼き菓子部分も甘いクリーム部分もうまい。
さらにクリームを2層にしているため、焼き菓子部分と合わせて5層だ。一瞬「クリームが二層だから焼き菓子も二層で合わせて4層」と書いてさらに馬鹿を露呈しそうになったが、声に出して指差し確認した結果、間違いなく5層であった。
別に数が多くて得だ、とはしゃいでいるわけではない。こうすることによりサラバンドは食べた時の食感がすごく良いのである。
厚みが結構あるので「堅い菓子では」と20代で入れ歯になりかけた私は一瞬危惧したが、薄い焼き菓子とクリームの層でできているから難なくサクサクと食べられる。
パッケージどおり、地味ながらも確実なうまさがあり、飽きない。リピート率が高そうだ。
実際サラバンドはすでに40年以上続くロングセラー菓子となっている。
ちなみに「サラバンド」という名前は、メーカーである小宮山製菓の、2015年から更新されていない大変親近感が湧くブログによると「スペインの舞曲」からとったそうである。
つまり、サラバンドは間違いなく長く愛されてきた菓子なわけだが、それに酷似している菓子があるという。

「レトロエレガント」なパッケージの菓子、サラバンド
5層で食べた時の食感がすごく良い
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